本当にあったリアルな怖い話・恐怖の事件 ~現代の怪談~

なんだかんだで生きている人間が一番怖い・現代の怪談ともいえる本当にあった怖い話や恐怖の未解決事件です。

入居した方がすぐ失踪行方不明になって突然死する事故物件に住んでみた

「あの、僕、何でもやりますよ」
「ほう、何でもやるか。そうか」
 
一瞬、緊張の間が空いた。
「建部が入社したときは何をやらしたんやっけなぁ…あっそうや、幽霊マンションや」
 
その連載は、高校生のころ読んだ記憶がある。確か2カ月くらいで建部さんが失踪したんだっけ。
「あの連載であいつも成長したわけやしな…。山野、お前、一人暮らししたいやろ?」
「はい、そうですね」
 
事実、実家の埼玉から通勤するのはしんどいとは思っていた。
「よっしゃ決めた。お前、会議はもういいから今から不動産屋行って物件探してこい。
人が連続で死んでたりするような、できるだけヤバそうなつやぞ。ほら、はよ行って
こい、ほら」


「あそこに近づくとめまいがするんですよ」
俺は幽霊とかスピリチュアルとか、オカルトの類は一切信じていない。科学的なデータがすべて。だから学生時代もパチンコで勝ち続けてこられたのだ。
 
もちろん幽霊物件なんて、なにも怖くはない。出てくる
なら出てこいってなもんだ。
 
会議室を追い出されるようにして外へ出た俺は、すぐに都内の不動産屋をめぐった。
 
結果、候補に挙がったのは以下の3物件だ。
  
① 
同じ階の住人が2カ
月に1人ずつ連続で2人
病死しているマンション
  
② 
中国人による殺人の  
あったマンション
 
③ 
2連続で自殺が起っ 
ているマンション

どれもいわくつきではあるが、霊現象は起きていない。これでは弱いか。うーむ。ど
うしたらいいものか。
 
そう思っていた矢先、携帯に着信があった。
「どうも。●×不動産のタカダです。山野さん昨日、事故物件でいいからお得な部屋を探してるって言ってましたよね?
ちょうどいい物件があったんですけれども…」
 
電話口の声が少し暗い。どんな物件なんだ?
 
さっそく●×不動産に行って間取りを見せてもらった。
中野駅徒歩10分、地下鉄新中野駅徒歩5分という好立地
でありながら5万円台という、破格の条件だ。
「タカダさん、この物件けっこう安いけど何があるんですか?」
「いやね山野さん、ホントは俺、あそこに行きたくないんですよ。でも上司がさっさと
片付けろっていうんで…」
 
なんだなんだ?
「あそこに近づくとめまいがするんですよ。いや、入居した方がすぐ失踪しちゃうんで
すよね、お勤めされてた方でも1、2カ月するといつの間にか行方不明になって……しかもそれが4回連続であって…トドメに突然死ですからね」
「突然死?」

「健康だった職人さんが突然
亡くなったんです」
 
タカダの話では、突然死のあった部屋は霊がつきやすいとかなんとかで、どこでどう聞きつけたのか、心霊マニアみたいな奴らも内覧を希望してきているらしい。
「なんだ、昨日紹介してくれれば良かったのに」
「すみません、山野さん、まだ若いんで、ちょっとどうかなと思いまして」 

若いとか関係ないって。じゃあ、内見しに行きましょうよ。
「そこの床で死んでるんですよ。人が」
 
中野の住宅街を車で少し移動して、物件に着いた。見た目は何てことないアパートだ。
むしろ綺麗な部類に入るぐらいで、幽霊とか心霊とかとは無縁に見える。
 
立地はかなり静かな住宅街の中で、ときどき鳥の鳴き声が聞こえてくるくらいだ。都
心からも遠くないし、最高のロケーションじゃないか。
 
しかしタカダの顔は暗い。
「山野さぁ〜ん、オレもうここ来るの嫌っすよ…山野さん契約してくださいよ…」
 
では問題の101号室へ。
ふむ、綺麗なもんじゃないか。ワンルームだが一人で住むには問題なさそうだ。風呂もトイレもちゃんとあって、キッチンもIHだし。
「日当たりはどうなんです?」
「東向きなんで、いいと思いますよ。ちょっとすいません僕、外出てていいですか」
「え?」

「そこの床で死んでるんですよ。人が」
 
そういって、タカダはちょうど俺の立っているあたりを指さした。ふーん。何も感じ
ないけどな。

「頭が痛いです。ここの内見に付き添うと本当に具合が悪くなるんです」
 
過敏な男だな。それでも不動産屋かよ。
「もういいですか。早く帰りましょう」
そういってすぐ車に乗り込むタカダ。顔が青い。心霊なんかよりこいつが事故らないかのほうが心配だよ。
かくして俺の新生活は、このコーポ中野101号室でスタートすることになった。
 
まだ霊の目撃情報こそ(聞いて)ないが、タカダの体調が悪くなる点、失踪者が連続する点、突然死発生という3条件は、今後の展開に期待がもてるとの判断からだ。 
さあ、霊でも何でもかかってきやがれ!