事件直前まで被害者と親しく話していた自称「イタリア人男性」の行方
１９９９年５月３日午前８時40分頃、
茨城県つくば市高田の、土浦学園線とエキスポ通りが交差する地点から１キロほど離れたシナ竹林の中で、
若い女性の死体が遺棄されているのを近所に住む男性が発見した。
遺体はあお向けで、靴下にパンティだけを身に付け首にはブラジャーが巻き付けられていた。
通報を受け現場に駆けつけた警察は、被害女性の首に絞められた痕があったことなどから殺人と断定。
司法解剖の結果、死因は窒息死で、死後２週間以上経過していることが判明する。頭部の一部は白骨化していた。
遺体の身元は、筑波大学１年生の川俣さん（当時19歳）。
４月に同大学に入学したばかりの新入生だった。
川俣さんは神奈川県藤沢市出身。音楽講師の父と学校教諭の母との間に生まれた一人娘で、湘南高校を卒業後、１年間の浪人生活を経て筑波大学に入学した。
入学式前日の４月６日に学校内にある学生宿舎に入寮、その夜には先輩が開いたコンパに顔を出し、楽しそうに他の寮生らと話していたそうだ。
異変が生じるのは、入学して３日後の４月10日の夕方。同級生の女子学生が電話でコンパに誘ったところ、「イタリア人の友人に食事に誘われているので行けない」と断ったという。
この電話の直前に学生寮近くの掲示板の前で、白人男性と一緒に話をしているのが目撃されていた。
川俣さんはこれを最後に失踪し、同月14日に捜索願が出される。
この自称イタリア人男性は、川俣さんが入寮した４月６日から９日にかけても、宿舎周辺で一緒にいるところを複数の学生に目撃されている。身長約１メートル90センチのすらっとした体型で、年齢は20代後半。
髪は短めの濃い茶色で胸の部分に水色の横線が１本入った薄い灰色の長そでシャツに、ジーンズという格好をしていたというが、この男性も事件後行方がわからなくなっていた。
警察は、寮生を中心に徹底的な聞き込み調査を行った。入寮していた学生は約１千４００人。
このうち３００人が外国人だった。警察は川俣さんが失踪する直前まで、彼女と接触していた白人男性が事件に関与しているものとして、その行方を捜したが、寮生に１人
だけいたイタリア人留学生は全くの無関係と判明。
この他、つくば市内や周辺の大学を調べたものの、イタリア人留学生は見つからなかった。また同市内には外国人登録したイタリア人男性９人がいたが、全員が事件に関与していないこともわかっている。
川俣さんの寮の部屋に荒らされた形跡はなく、ドアには鍵もかかっていた。やはり怪しいのは、彼女と親しく話していた白人男性だ。栃木県警は現在も、男性の行方を追い続けている。
