本当にあったリアルな怖い話・恐怖の事件 ~現代の怪談~

なんだかんだで生きている人間が一番怖い・現代の怪談ともいえる本当にあった怖い話や恐怖の未解決事件です。

デート中の学生カップルが連続殺人鬼にめった刺しにされた事件

1960年代末の米サンフランシスコを舞台に少なくとも5人を殺害。新聞社宛に警察をあざ笑うかのような犯行声明や謎の暗号文を送りつけた男がいる。ゾディアック。世間を恐怖のどん底に陥れた事件の犯人は、今なお逮捕されておらず、事件は未解決のままだ。
 

最初はカップルばかりが餌食になった。1968年12 月20日、サンフランシス郊外で、デート中だった17歳と16歳の男女が車中で銃殺により死亡。翌1969年7月4日深夜、最初の現場から3キロ離れた娯楽施設の駐車場で19歳と23歳の男女が銃弾を受け、男性は奇跡的に一命を取り留めたものの、女性は病院へ搬送中に息絶える。
 

2つの事件は、まもなくサンフランシスコの3つの新聞社に届いた手紙で一つにつながる。
そこには犯人しか知り得ない両事件の詳細と、意味不明の暗号文が記され、円と重ねられた不気味な十字のマークで結ばれていた。1週間後に再び届いた手紙で、差出人は初めてゾディアックと名乗る。

手紙の最後にはまた例のシンボルマークが書かれていた。
 

ゲーム感覚で殺人を重ねるゾディアックの3度目の凶行は、1969年9月27 日。湖畔でデート中だった学生カップルの前に突然、全身が黒服姿で中世にあった四角い頭巾を被った男が現れ、2人をめった刺しにした。

女子学生は病院で死亡。男子学生は一命を取り留めたが、彼の車には油性ペンで、これまでの犯行の日付と例のシンボルマークが書かれていた。ゾディアックの手紙と全く同じ筆跡だった。
1ヶ月後の10月、ゾディアックは突如、標的を変え29歳の男性タクシー運転手を銃殺。
10日後、運転手の血が付いたシャツ断片を地元新聞社へ送り、警察への電話でサンフランシスコのテレビ局KGO-TVの朝のトークショーに電話出演すると伝えてきた。殺人犯のテレビ生出演という異例の要求である。

テレビ局は視聴率につながるという計算もあって、通常番組を中止して特番を編成。番組は午前6時30分に放送され、7時20分に犯人と思しき男から電話がかかってくる。事前にゾディアックに指名され、番組に出演していた弁護士が男に「君のことは何と呼べばいいかな?」と聞いたところ「サム」と答えた。警察の逆探知を気にしているのか、電話は何度も切れてはかけ直され計12回に及んだが、その内容は「頭が痛い」とか「子
供を殺す」といったまとまりのないもので、果たしてこの男が本当にゾディアックだったかどうか不明のままだった。
これ以降、ゾディアックは動かず、警察の無能を嘲笑する手紙と暗号文を新聞社宛に送り続ける。その数は20通以上にも達し、全てが紙面に掲載されたが、1974年以降、音信が途絶えてしまう。
警察は、事件の容疑者として1千人以上を尋問した。その中で最も怪しいと睨まれたのが、アーサー・アレンなる男性だ(1933年生)。湖畔でカップルが刺殺された事件現場に残っていた足跡から、犯人が軍用靴を使用し、体重が90キロ以上あることが明らかになっていたが、
アレンは海軍勤務の経験があり、足のサイズも体重も一致した。住まいも最初の事件現場から車で8分、第2の現場から5分。何より彼が事件当時、周囲に「近いうちに自分はゾディアックと呼ばれるだろう」と漏らしていたことから真犯人に違いないと目された。状況証拠は真っ黒だった。

警察は20年以上もアレンを尋問し、犯行に使われたと思われるアレン所有のトレーラーも隅々まで捜索。多くの武器、パイプ爆弾、ゾディアックシンボルの指輪などを押収した。
が、決定的な証拠はゼロ。アレンは怪しまれたまま、1992年、この世を去っている。
2020年12月、オーストラリアの暗号解読者、アメリカの数学者及びベルギーのプログラマーからなるアマチュアの暗号解読チームが、自分たちで開発した暗号解読プログラムを使い、ソディアックが送りつけてきた340個の記号からなる、いわゆる「340暗号文」の解読に成功した。暗号には「私を捕まえるのを大いに楽しんでほしい」「テレビ番組に電話したのは私ではない」
「ガス室は怖くない。より早く私を天国に送ってくれるから」などと記されていたそうだ。

が、FBIはこの解読が事件解決の手がかりになることはないとの見解を示している。