本当にあったリアルな怖い話・恐怖の事件 ~現代の怪談~

なんだかんだで生きている人間が一番怖い・現代の怪談ともいえる本当にあった怖い話や恐怖の未解決事件です。

主婦が暇つぶしに出会い系でヤクザと知らずに会っちゃった

金を貸した途端携帯が通じなくなった

数日後、再び〈極小コンプレックス君〉と会った。

今回は最初からホテルだ。
この人は、指図を妙に嫌う。はっきり言って上手とは言えない指使いに
「そうじゃなくて」などと言おうものならカーッとなる。

ま、しかたない、傷つけずにいてあげよう。
ひと通り終えると、彼は携帯を取りだし、どこかへ電話をかけた。

金銭(200万ほど)を渡す約束がある。ところが、家を出るとき、玄関に現金入りのバッグを置いてきてしまった。したがって、今日は行っても現金は渡せない、許せ

何やらヤバそうな。関わらない方が身のため、と思っていたら、話が終わるや彼が切り出してきた。
「たのむ、明日中に振り込んで返すから、カードキャッシングして貸してくれ」
今、考えたらこんなアヤシイ話はない。

聞く耳持たないのが常識ってもんだ。が、そのときの私はどうかしていた。

明日、返ってくるなら何も起きていないのと同じと、持っていたカードで限度額いっぱいの50万円をキャッシングして彼にそのまま渡してしまったのだ。
果たして、翌日から彼の携帯が通じなくなった。やられた!と青ざめたところで後の祭り。愚かな自分がただただ情けなかった。
取り返す手だてはないものか。

と、そこで気がついた。そうだ、名刺をもらってる。少なくとも会社(彼の妻の父親が経営)の番号はわかる。けど、女1人で対抗するのは、あまりに心細い。
どうしたらいいだろう。とりあえず、私の名前で50万を借りたのは事実。返済しないと、取り立てとかやって来ちゃうんだろうな。
いや、それより旦那にバレることの方が恐い。何とかしなければ…。
考えた結果、私は大胆にも援助交際で金を生み出すことを思いつく。伝言を聞いた限りでは、金で女を買う気のある男はわんさかいるようだ。
思うが早いか、テレクラに電話をかけた。こっちの方が伝言より手っ取り早いはずだ。
実際、話は早かった。

「今日は私を買ってくれる人探してるの」
「え、偶然。俺もそのつもりで来てるから」
最初に出た男で話は決まった。
待ち合わせは海岸沿いのファミレスの駐車場。車でやって来たのは、青年だった(仮にBと呼ぶ)。
彼の車に乗りこんだら即ホテル。早い早い。部屋で打ち解けるのも早かった。
「なんでこんなことしてるの?」
「ちょっと訳があって」
「どんな訳?よかったら相談にのるよ」
「ほんと?実は…」
どうせ会うのは1回きり。私は洗いざらい事や情を話した。すると、
「その金、取り返してやろうか」
「え?なんで?できるの?」
「だってさ、こうやって、50万円稼ぐと思うと。何人とやんなきやならないんだ?君はだめだよ、こういうことしちゃ。やめてほしいし、できたら俺の彼女になってほしい。そのために、俺はそいつから取り返す」

こんなこと言われちゃうと、もうダメ。この人は.なんていい人惚れちゃうかも。なんて思いながらまず一戦。
Bは若いだけに絶倫だった。モノも立派で、こちらが受け入れきれないほど。
もちろん、その日の金銭のやりとりは無し。私は50万が返ってくればそれでいいのだ。
鏡の前で身支度を整えていると、にこにこしながら私を見てる。惚れた?と思った瞬間、ピカ!カメラのフラッシュが炊かれた。
「え?やだ-。だめだよ-」
「だって、あんまりかわいいから。誰にも見せないから」
「だったらいいけどさあ」
私はあまりに無知だった。

翌日、改めてBに会った。いかに金銭を取り返すか、その作戦会議のためだ。
「とりあえず、こんなのもらってるんだけど」
〈極小君〉の名刺を見せるや、彼は速攻で電話をかけた。
「×のBといいますが、○○さんいらっしゃいますか?」
「あいにく○○は、本日おやすみをいただいております」
「では、自宅の番号をお願いできますか」
「はい、※※※※l※※※※です」
なんと、簡単に電話番号を入手してしまった。彼の話では、最初に名前を名乗ったことと、かけたのが男だったことが幸いしているらしい。
ふ-ん、そんなものかと感心する私を後目に、彼が〈極小君〉の自宅へ電話。と、驚いたことに本人が出た。以下、会話を再現すると(私はあくまで聞いてただけだ
が、おそらくこんな流れ)
「××のBというものだけど、○さんですね」
「そうですが」
「陽子に金借りてるようだけど、いつ返せるんですか」
「おまえは誰だ」
「陽子の友達です」
「なん番号わかったんだ!」
「そんなこと、どうだって言いでしよ」
「おまえ誰にモノ言ってる?その筋から黙らせるぞ。俺は△の☆☆を知ってるんだ」
「ちょうどよかったです。僕実は☆☆さんとは親戚付き合いしてるんですよ」
「てめ-、あいつに代われ!」
ここで私が電話を取る。
「おまえ、こんなことしてどうなるかわかってんだろなこの野郎!」
「落ち着いて。私は悪いことは何もしていない。逆切れしないで。とにかくお金を返してほしい」
「うるせ-、この野郎!」
それまでの〈極小君〉とは思えないほどのキレ様。私はとりあえず、口座番号を伝え電話を切った。
何日か経過。振込みは行われない。やはり無視する気か。と思っていたら、口座を確認してびっくり!なんと50万円が振り込まれているではないか。
どういうこと?

やはり、彼に電話してもらったのが効いたのだろうか。だとしたら、あの「☆と親戚付き合いしている」というフレーズはいったい…。

数日後、Bに会い、戻ってきた50万の中から7万円をお礼として渡した。お人好しかなと思ったが、彼の助け無しでは決して返ってこなかった金だ。
そして、私は誘われるままBと付き合うようになり、徐々に彼の正体を知っていく。Bは正真正銘、暴力団の組員だった。

☆☆さんというのはその世界ではかなり有名な人物で「親戚付き合い」というのも本当の話らしい。
それにしても、Bの外見のなんと普通なことよ

彼に言わせれば、いまどきベンツ、パンチ、派手スーツ、指がない、などといういかにもなヤクザはいないという。
私たちは仲良く付き合った。むろん夫には罪悪感を感じていたが、彼の優しさが単純にうれしかった。
ヤクザであることも、一緒にいるときはほとんど意識しなかった。
しかし、それは私の単なる勘違いに過ぎなかった。付き合いだして3週間、私が心の片隅でずっと気になっていたことを口に出したときのことだ。
「ねぇ最初に会ったとき、ホテルで写真撮ったじゃない。あの写真どうした?ネガとかちゃんと捨ててくれた?」
「どうしたの」
「だって、気になるでしよ」
困った顔を見せた私に、彼のトーンが変わる。

「ネガはまだ俺が持ってるよ。あんまり気にすると、ろくなことにならないぜ」
「え!だって…。お願いだから返して。困る、私…」
「。::。」
Bにしてみたら、私が写真のことをこれほど気にしているとは想像もしていなかったのだろう。
「ちょっと出ようか」
「返してくれる?お願い、写真返して」
「いいから来いよ」
向かった先は人気のない山の中だった。彼は冷静な声で言った。
「ネガは返すよ。で、いくら持って来れるの?」
こう言われて、初めて恐喝されていることに気がついた。
「俺と会っていること、誰も知らないんだろ?」
「。:。。。」
「終わるときは、でっかく終わろうぜ。なぁ」
「お金は…ない」
「そんなもん、あるだけでいいんだよ」
「…本当に返してくれる?」
恐怖とネガを返して欲しい一心で、翌日、現金を渡すことを約束してしまった。金額は〈極小君〉から取り返した分。Bは取り返せなかったと思え、と言った。
家に帰って考え直した。ヤクザに脅され金を払ったが最後。骨の髄までしゃぶられる、と聞く。

ネガは返してほしいが、金を渡したらそれこそ地獄の始まりだ。ここは必死に耐えよう。

翌日、約束の時間に連絡してこない私に、Bから鬼のように電話が入った。携帯の留守電に残ったメッセージもだんだん恐ろしい内容に変わっていく。
「はやくしろ、テメー!」
「逃げられると思うなよ」
「俺をばかにすると、どうなるかわかつてんだな」
「家に行くぞ!」
心底、怖かった。が、一方でこれを耐え抜けば、Bもあきらめるだろうという気もした。彼には家の住所も自宅の電話も教えてない。
写真の件は気にかかるが、脅迫からは逃れられるはずだ。
と思った私が甘かった。2日後、自宅の電話が鳴った。
「何してるんだよ」
Bだった。なんでなんでこの番号がわかったの!心臓がバクバクして、目の前が真っ白になる。
「おまえ、ばつくれられるとでも思ったか。その歳で世の中知らな過ぎだ。今、おまえの家のすぐ近くにいる。すぐ出て来い。来ないと行くぞ」
心臓バクバクのまま外に出た。
そして、ひたすら平謝りだ。
車に乗れと言われ、ホテルへ直行。あとは言いなりだ。3回、4回やってもまだ満足してくれない。
なんせ、Bは精力絶倫なのだ。ただ、不思議なことに、ホテルでの彼は落ち着いていて、以前のとおりやさしかった。自分の過去の話などについてもすんなり話す。
おまけに、私の自宅や電話番号がわかったのは、車のナンバーからだとも教えてくれた。
「金はもういいから」
「本当?」
「ただ俺が呼んだときはすぐ来い。だんなの会社は知ってるから」
新たな地獄の始まりだった。

どうして、こんなことになってしまったのだろう。自業自得なことは十分承知している。でも、このまま放っておいていいはずがない。恐怖におびえながら、あの絶倫男の言いなりになるのは絶対イヤ。なんせBはヤクザなのだ。
どうしたら逃れられるんだろうか…。私が出した結論は、警察だった。明らかに私は脅されている。
警察なら何とかしてくれるだろう。
「恐喝まがいなことを受けてるんです。で、今は関係を強要されてて。何とかしていただけないでしょうか」
思い切って電話をかけた私に、警察は「恐喝は現行犯か確証がないと検挙できないし、保護もできない」と言う。ただ、詳しく話を聞くから署に来いとのことだ。
警察で対応してくれたのは、卵代くらいの、TVの刑事ドラマに出てきそうなタイプの人だ。瞳の奥で、人の心理を見透かしているような目つきが、いかにも刑事然としている。
私は、50万を編されかけ取り返したいきさつは省略、写露真をネタに恐喝されているといみ点に話を絞った。Bの名前を出すと、刑事さんは「あいつか」と吃った。どうやら、本州物のヤクザらしい。
「もう怖くて怖くて、何とかしていただけないでしょうか」
「ただね奥さん、警察は事件になるまで動けないんですよ」
早い話が、一般人の保誰、警備は、いくら狙われていようが、事が起きない限り不可能というわけだ。言い換えれば、赤裸々に話してしまった後「お疲れ様、お帰りください」と言われたようなものである。
「また、彼が来たら、録音するといい。ま、恐喝罪にひっかかる言葉は吐かないだろうが、家まで入ってきたりしたら、不法侵入ですぐ警察を呼びなさい。ただ、そのときは旦那さんにすべてばれますよ。近所の騒ぎにもなる」
「。。:。::」
結局、私は肩を落として帰るしかなかった。
その後、Bは体が要求するままに私を呼びだした。警察に行ったことなど知らぬふりで、その場をしのぎ、演技を重ねる私。気づかれたら大変なことになると思った。
そんな関係が2カ月ほど続くと、微妙な変化が現れ始めた。Bが私を呼び出す回数が徐々に減ってきて、仕郷いにまったく連絡が来なくなったのだ。このまま自然消滅的に付き合いを終えられるかも。

希望が見えてきた。
電話が途絶えて3カ月がたった。
もう大丈夫だ。私に飽きたのかもしれないが、いずれにせよもう追ってくることはないだろう
再び平穏な日々が始まった。と、またぞろ〃虫″が識き始めた。あんなに痛い目に遭ったにもかかわらず、一度覚えたテレクラの味。
自分が簡単に援助交際できる人間であることを知るまでに、大して時間は要さなかった。
1カ月で十数人の男と会っただろうか。2時間近く付き合うだけで2万円前後の金が手に入る。こんなラクで気持ちいいことは他にない。
私はすっかりはまった。そんなある日のこと、自宅に戻ると留守番電話のランプが点滅していた。当然、押す。と、
「おまえ、なにやってるんだ!自分のしてることよく考えるよ」
Bだった。くらっと目舷。今さらなぜ?何を考えろと言うの?
夫がいたときだったら…。いろんな思いが頭の中を駆けめぐる。程なくして電話が鳴った。出ると案の定、ヤシだった。
「おまえね〜、何考えてんの。あの男、誰だ。とにかく、話聞かせろ。明日、来いよ」
あの男とは、今日テレクラで会ったサラリーマンのことだろうか。
全部見られていたのか。それともはったり?いずれにせよ放つとくわけにはいかない。無視すれば、また電話がかかってくるし、家にやって来るに違いない。
翌日、Bに会った。〃あの男″のことは高校の同級生で、旦那も知っている友達だと言い訳した。
「ふ-ん。ところでさ、おまえ、警察に俺のこと言っただる」
「え?言ってんのよ」
「筒抜けなんだよ。おまえ、バカもいいかげんにしろ。しかも、てめえの金とり返してやったことは一言も言われえじゃん。都合悪いところはカットか!」
「。・・・。・・・。」
どこから漏れたんだろう。警察とヤクザは通じているというが、まさか…。もう誰を信じていいのかわからない。
この後、Bに言われるままにホテルへ行き、さんざんいたぶられた。繰り返すが、彼は絶倫。3回出してもまだ求めてくる。硬直、泣きたかった。
「また電話すっからよ」
Bは満足げな顔で帰って行った。終わったと思ったのに、また始まった奴隷のような関係。あまりに悔しく情けなく涙も出ない。途方に暮れるとは、まさにこのことだ。
しかし、どういうわけか、その後、Bはぶつつり連絡を絶つ。2カ月、3カ月たっても電話1本かけてこない。単なる気まぐれか、身辺に何か起きたのか。いずれにせよ、このまま何事も起こらないのを祈るだけだ。
半年たっても何の音沙汰もなかった。ここまで来れば、もう大丈夫。Bは絶対に追って来ない。日に日に確信が強まっていく。
そして、私は改めてテレクラ遊びに狂いだす。昨日はサラリーマン、今日は自称社長、明日は大学生。金銭を要求するときもあれば、その日の気分で擬似恋愛的な恋人同士のようなデートも楽しんだ。

我ながら、懲りない女ではある。
ある日の相手は年下。結婚生活に倦怠を感じ、他の奥さんと出会いたいと言う。話も合うし車は外車。会ってみよと思った。
待ち合わせの場所へ出向くと、黒の外車が1台。これだな。車で後ろから近づき、枝並びになって運転席を覗く。

Bだった。
返して急発進。気づいたBがすごい勢いで追ってくる。国道を猛スピードで逃げる私、追うB。
なんで、こんなことになるの
結局、逃げ切ったものの、その後は、また眠れない日が続いた。
いつBが目の前に現れるかもしれない。心底怖かつた。
だが、彼が連絡してくることは二度となかった。さすがに、B自身も時間のムダだと感じたのだろう。さんざん楽しんだことだし、元は取れたと思ったに違いない。
その後まもなく、私は夫と離婚した。理由は言うまでもない。伝言やテレクラにハマっていることがばれ、注意されても一向にヤメる気配のない態度に愛想を尽かされたのだ。
離婚してからの私は、それこそ好き放題だった。冒頭でも書いたように、あらゆるプレイを楽しんだ。今ではすっかり好奇心は満たされ、スリルもなくなったというのが正直なところだ。
こんな私、皆さんどう思われますか?