本当にあったリアルな怖い話・恐怖の事件 ~現代の怪談~

なんだかんだで生きている人間が一番怖い・現代の怪談ともいえる本当にあった怖い話や恐怖の未解決事件です。

殺人に見合うだけの理由など無いのに殺してしまう殺してみたい症候群シンノドローム

いまさら言うまでもなく、「殺人」は人問としての極限的な行為である

やってしまったら最後、その人間の一生は台無しー。

別に難しい理屈など持ち出さなくても、これくらいのことは誰もが自然に心得ている常識のはずだ。

だから「殺人」は、相手によほどの怨みがあったり、あらぬ欲にかられた末のことであったり、感情の突発的な暴走のなせるワザであったりするのがふつうで、それ以外にはまずあり得ないこととされてきた。

逆に言えば、人間というのはそう簡単に人を殺したりできる存在ではないという暗黙の前提のもとに、私たちの日常は営まれてきたのである。

ところがここ数年来、こうした当たり前の通念を裏切るような殺人事件が、あちこちで起こるようになった。殺人という行為の重大さに見合うだけの理由など何も無いのに「やってしまった」としか考えられないようなケースが、徐々に増加してきているのである。

昼下り、さいたま市内のラブホテルに一組のカップルがチェックインした。

二人は同市内のテレクラを通じて、その日出会ったばかりで、JR駅前で待ち合わせ、そのまま二人だけになれる場所に直行したのだった。
そして約4時間後の同日午後4時ごろ、同ホテルの客室から署に女の声の電話が入った。
「男の人を殺しました・来てください」
とくに取り乱した様子もない、まるでOLが上司に仕事の報告をするような女の口調だった。
「殺しましただと?寝呆けてでもいるんじゃないのか…」

半信半疑で署員はホテルへ駆けつけたのだが、通報者が寝呆けていたわけでもないことは室内の様子ですぐわかった

ベッドの上に全裸の男の死体が横たわり、通報者とおぼしき女が、ジャンパー、スラックス姿で傍らのソファーにぼんやり坐っていた。

「君がやったんだな?間違いないな」
「はい」
刑事は腕時計で時刻を確認しながら、その場で女に現行犯逮捕を告げた。
女は淡々と取調べに応じた。
氏名は弘美、年令は36才、職業はとくに無し、住所は目下のところ不定、独身。

数日前に実家を飛び出し、漫画喫茶などを泊まり歩き、テレクラ売春で稼ぐ毎日だった。

被害者の佐藤(30才、フリーター)と出会ったいきさつについても、ろフろフと供述した。

調べは順調に進んだ。が、肝心の動機を述べる段になって、取調べ室に妙な空気が流れはじめた。犯行動機について容疑者は一言、「人を殺してみたかったんです」と供述したのである。

「何だとー・」

刑事が自分の耳を疑いながら聞き返すと「でも、あの人、なんで死んじゃったのかしら」

事件などまるで他人事のような口ぶりだ。これを聞いた刑事たちの頭に一瞬「精神鑑定」の四文字が。

が、事実関係についての供述に矛盾したところはなく、結局、署は、彼女の言うとおりの動機を調書に記載して身柄を送検するしかなかった。

容疑者はまた、「自殺したい自殺したいとずっと思ってました。それが(事件当日は)何だか知らないけど、人を殺してみたいとい、っ思いに変わったんです」

とも供述している。
その一方で「お金が欲しかったから」などとも言ってるが、被害者に金銭を奪われた形跡は皆無。

もし金銭を奪うのが主要な動機だとしたら自分で警察に通報などするはずもなく、とてもホントのこととは考えられない。

「肩をもんであげる」と、被害者の体をベッドにうつ伏せにし、その背中に乗り「変わったことしてみようよ」と、首にビニールひもを巻きつけて絞殺。これが三門容疑者の犯行手口だった。

ソフトSMにでも誘うような素振りで一気に殺してしまったわけで、被害者にすれば、自分に「何が起きたのか」全くわからないままの死だったと考えられる。目の前にいる見かけはごくふつうの女が、「人を殺してみたい」などという途方もない動機を心に抱き、たとえば怨みや怒り嫉妬といった感情のいっさいを伴わない「殺意」を自分に向けていると、いったい誰に想像できるだろうか。

人問の人問に対する最小限の信頼を根底からひっくり返してしまうような犯行の有様だが、実は、これとよく似た動機による殺人は、すでにこの社会に何件も発生しているのである。シンノドロームそう、「殺してみたい症候群」とでもいうべき犯罪が。