本当にあったリアルな怖い話・恐怖の事件 ~現代の怪談~

なんだかんだで生きている人間が一番怖い・現代の怪談ともいえる本当にあった怖い話や恐怖の未解決事件です。

怖いから逃げた無免許ひき逃げがバレなかった理由

蝶き逃げ事件を起こしてしまいました。

捕まってないっすよ。
臆面なく自らの蝶き逃げ体験を告白するなんて、タチ悪い冗談か。
人を蝶いたが最後、絶対逃げらればい絶体絶命の状況である。そこを逃げ切った。というのはどういうことなのか。

中学1年から河原で原チャリを乗り回していた彼が、初めて車を運転したのは高校2年の春のこと。ワル仲間の先輩に誘われたのだ。
オートマのオンボロカローラを賜分ほど河原で試乗し、いきなり公道へ飛び出した。
バイクで走り回ってたんでオートマならラクショーって感じでしたね。アクセル踏むだけだし。
オレらのダチはみんな運転してましたよ
ノーマルな運転に飽きると次に中原は、河原でのドリフト遊びにのめり込む。
路面状態の悪い土や砂利の上を走リ、一気にサイドブレーキを引く。

しかし、そんな派手に遊んでいて警察が黙ってるのか。住民に通報されて当然だろう。
「田舎なんで、河原沿いに家なんかないっすよ

月に2〜3回程度なら絶対しませんね。けど、それで調子に乗ったのが、間違いだったんすよ…」
秋、彼は運命の日を迎える。
「その日は朝8時に,地元の先輩の土井さん(仮名)が誘いにきまして。オレの親友でもある杉原(仮名)からや車を借りてきたんすよ。しかも《代車》です」
代車とは、マイカーの修理期間などに一時貸し与えられる車のことだ。名義はあくまでも業者のものだから、荒っぽい運転で遊ぶ彼らにとっては最適
腹が減ったからマックヘ行こうと土井が中原を誘った。
「このとき、先輩に運転を任せていれば問題なかったんですよ。けどオレ、どうしてもドライブスルーを通ってみたくって。自分からハンドルを握っちゃったんすよ。」
障害物は1〜2キロ先にある駐車中の黒い車1台のみ。バックミラーには何も写ってない。
チャンス!と思いながら、ムリヤリ車をドリフトさせました。先輩は『危ね』と怒ってましたけど。そしたら案の定、急にハンドルが制御不能になっちゃったんですよ。もう、そのまま土手の下へ落ちる寸前

その直後、彼の耳に届いたのは、グシャッーという衝突音だった。前方に見えた黒い車に突っ込みかやっとのことで停車したのだ。
「いや、マジでビビつた。
相当、大きな音がしたんでよしようね。川のそばにいた人たちがボクらを凝視してるんすよやんだよ、テメーらフザけんな、とか思ったんすけど、黒い車を見たら、後部座席のドアが完全にヘコんでました…。」
普通なら、この時点で警察呼び事故証明が筋道だ
犯行はバレバレである。
が、唇をガクガクさせながら「逃げろ」と中原を怒鳴ったのだ。
「そんなことして平気かよ・って思いましたけど、言い返す余裕もなかった。とに
かく手脚がガクガクなんですよ」
怒号とともに代車をいったんバックさせ、進行方向へハンドルを軌道修正。近くに持ち主がいないかったのが、不幸中の幸いだ。このときの中原はそう思っていたという。河原から逃げた2人は、街中へと車を走らせる。
運転を交代するトコなんでしょうけど、先輩もビビリまくっちゃってて。
だから危険を承知でオレがコロがしていたんです。けど、実はそのとき車そのものがヤバイことになっていまして
対向車の運転手の視線に気づき、外へ出た中原は腰を抜かす。フロントバンパ-が大きくよじれ、右側へ突き出していたのだ。
この車はたった今、事故を起こしたばかりです。そういいながら走っているようなもの。
そしたら先輩がまたビビつちやって。
深呼吸で息を整え、車を発進させる中原。が、相当気が動転していたのだろう。
信号は赤のままだった。しかも、その矢先、右方向から突然パトカーが現れた。
身をかがめる2人の前をパトカーが徐行していく。助手席に座る警官が彼らの代車を眺めているのがわかった。
「あっ、こりや絶対にバクられるな、って覚悟しましたよ。そうなりや、オレの経歴からいって間違いなく鑑別所行き。もう口から飛び出るほど心臓がバクバクですよ。けど、書察はそのまま左へ走り抜けてって。信号が青に変わった瞬間、猛ダッシュしましたよ」
彼は交差点を右に曲がり、住宅街のど真ん中を目指した。近所には別の先輩の家があり、事故車を一時匿おうと考えたのだ。
「その前に、ともかく杉原に事情を話そうと取り出したんです。その瞬間でした」
ケータイを握りしめながら彼は、鈍い音と共に、フロント左方で何かが跳ねるのを見た。
振り返るとそれは人だった。衝突する数秒間の記憶は抜け落ちているものの、周囲の状況からいって自分の運転する車がひいたのは間違いない。
軍救急車を呼ぶ?そんな余裕ないつすよ。冷や汗を流しながら、アクセルベタ踏みで逃
げ出してましたもん。被害者が血を流したかどうかもわからないんです
そして、気がつけば住宅街を走り抜けていたそうだ。
いったい罪の意識はないのか。そう問えば即座に『ある」と答える中原。が、一方で、少年は冷静に頭を働かせていた。
「人を蝶いたんだから、めちゃめちゃヤバイじゃないつすか。なのに先輩は『どうする?急いで修理屋に持っていくか』とか、『このまま杉原に返しちまおう」
なんてトンチンカンなことばかり口走つってんすよ。でも、そんなことすればソッコーで足がつきますよね?で、無い知恵絞って考えたのが、車を林に捨てたらどうかつてこと。子供じみたアイデアかもしんないけど、代車を盗まれたことにして、デッチ上げの犯人の仕業にしようと考えたんですよ」
思うが早いが、彼はすぐに車を停め、杉原の家へ電話を入れる。
「ヤツに説明をするのが大変でした。言ってもなかなか信じてくれないんすよ。まつもそりゃそうですよね。河原で遊んでいるハズなのに、住宅街のど真ん中で人をひいた、
なんて。けど、アイツもオレらの様子気づきまして

急に神妙な声で『オレは何をすればいいんだ?』って開き直りました」
話を聞く態勢になった杉原に中原は説明する。
まずべ親父と一緒に警察へ出向き、代車の盗難届を出すこと。その際、杉原自身は大人しい服装で警官に好印象を与える。さらに、代車は地元のスーパーの駐車場で盗まれたことにすること。
ひき逃げプランは《ニセ盗難届》が通るか否かにかかっていた。杉原親子が中原の人生を握っているも同然だった。
一方、この間に土井は現場近くに住む友人へ電話を入れ、事故の様子を探りに行かせていた。返事は次の通りだ。
《やっぱり蝶き逃げ事件があったみたい。人だかりができて救急車も来てたよ》
地面には多少ながら出血の跡も残っていたという。
話では被害者の生存だけは確認できたらしい。
『残る問題は車をドコに捨てるかですよね」
車から指紋が出たらアウトだったが中原は車を大通りに向けて走らせた。行き先は隣接
するA市の林。市が変われば、警察の管轄も変わり、捜査を混乱させられるんじゃないかと考えたのだ。「そしたら先輩が『おまえ、何でそんなこと知ってんだよ。まじ天才だよ!』だって。本当は他に頼る知識がなかっただけなのに。
けど、正直言ってこんな小細工は、すぐにバレると思っていました」