本当にあったリアルな怖い話・恐怖の事件 ~現代の怪談~

なんだかんだで生きている人間が一番怖い・現代の怪談ともいえる本当にあった怖い話や恐怖の未解決事件です。

精神の病へ追い込み自殺に追い込む鬼畜な人間

ここ数年、自殺者は年間3万人を超えている。実に交通事故の3倍の数だ。もしかして皆さんの周りにもー人ぐらいはそんな知り合いがいるかもしれない。だが、身近に自殺者が4人。しかも自分が直接の原因を作ったという人間は、世の中広しと言えどこのリポートの主人公、森下氏ぐらいのものだろう。自分を苦しめるヤツは死んで当たり前と他人を死に追い込む、恐怖の論理。世の中には、こんな鬼畜な人間もいるのである。

物心がついたとき、すでにオレの評価は決まっていた。小学校に人って受けたIQテストでも最高値が出たとかで、開校以来の秀才ともてはやされる。おまけに一人っ子だから家の中では我がまま放題。お陰でプライドだけはやたら高い子供になった。

最初の事件が起きたのは小学校2年のときだ。当時の担任はメチャクチャ厳しい石崎孝子(仮名)先生で、体罰など日常茶飯事。教室内はいつも緊張感が漂っていた。ある日、掃除が終わって教室に戻ると、前の席に班日記が放ってあった。

小島のヤツ、オレに渡すの忘れたな。まったく先生に怒られたらどうするんだよ

小島みどり(仮名)はいつもヘラヘラ笑ってる、クラスでも有名なドン臭い女だ。オレはムカつきながらも日記帳をカバンにしまい学校を出た。日記を書くのを忘れたのに気づいたのは翌朝、家を出てからだ。先生が来る前に教室で書いてもいいのだが、そんな姿をクラスメートに見られるのはカッコ悪い。迷わず日記帳を破き、途中の川に投げ捨てた。

「6班、日記帳が出てないわよ」

朝のホームルームが始まるや、教卓に積み上げられたノートを数え先生が大声を上げた。

「ボクの番だったのに、ノートをもらってないんです。だから書けなくて」

「小島さん、どうして渡さなかったの」
「渡そうと思ったときに森下くんがいなくて・・」

「じや、ノートはあなたが持ってるのね」「……」

「日記帳はあなただけのものと違うでしょ。いいわね、明日は必ず持ってきなさい」

ごめんなさいと泣いて謝る彼女を先生は容赦なく怒鳴りつける。ちょっと可愛そうな気もしたが、元はと言えばアイツのせいだ。オレは自分の悪事がバレなかったことにホッとし、神妙な顔で先生を見ていた。
オレが何をしようと死ぬヤツは死ぬ

翌日から小島イジメが始まった。男子はスカートまくりの集中砲火を浴びせ、女子は仲間外れ。明るかった小島は、毎日、自分の席でメソメソ泣いていた。

「みんな、仲良く遊ぼうよ」オレが帰りのホームルームで叫んだのは、小島を助けたいと思ったわけじゃない。単純に罪悪感からだ。
なのに驚いたことに、翌日、下校中で小島のお母さんに出くわすと

「森下くん、うちの子をかばってくれたんだって。ありがとね」

と、小遣いをくれるのだ。どうやら小島は、ホームルームの出来事を報告したらしい。罪の意識は一瞬で吹き飛んだ。

「小島がイジめられれば、お金がもらえるぞ」

こうしてオレは、クラスのガキ大将をそそのかす一方、道徳の時間には「イジメはよくないことです」などと繰り返すようになる。狙いは的中した。イジメはエスカレートし、小島の母親からはどんどん小遺いやお菓子が手に入る。オレは毎日が楽しくてしかたなかった。気がつけば小島は学校に顔を見せなくなっていた。それは秋だというのに朝から蒸し暑い日だった。

「自習してなさい」と言い残し先生は職員室に寵もったきり。子供心にも異常が伝わってくる。そのうち誰かが言った。

「小島が死んだって」心臓がドキンドキンと大きな音を立てた。小島が死んだ。ウソだろ。そんなのウソに決まってる。給食にひとつも口を刊けず家に帰ると、母親が外出の用意をしていた。

「小島さんとこのみどりちゃんが亡くなったんだって。これから学校に行くからお留守番しててね」

…本当だった。小島は深夜のうちに団地の屋上から飛び降り、早朝、新聞配達員が発見したそうだ。捕まるかもしれない。小島が死んだのは自分のせいだから、警察に逮捕され、刑務所に人れられるんだろ、スオレは穐仰に震えた。しかし、誰もオレを責めるヤツは現れなかった。母親がイジメのせいだと訴えたが、その証拠となる遺書はない。

結局自殺の原因は追及されないまま、まもなく小島の机は教室から運び出された。当時は"死"の意味さえわからなかったオレが小島のことを思い出したのは、それから6年が過ぎた高1の夏のことだ。

中学の同級生が病死し、クラス会気分で焼香に行ったとき、突然、恐怖が蘇ってきた。小島はオレが殺したんだ。そのことを考え始めると、恐ろしくて夜も眠れない。1カ月ほど悩み、最終的にオレは手前勝手な論理を導き出した。

オレが何をしようと死ぬヤツは死ぬ。それはそいつの運命だー
ゲッソリしていく元彼女を見るのが快感
十で神童、二十歳過ぎたら只の人とはよく言ったもの。高校を出るころには下から数えた方が早い成績で、なんとか三流大学に滑り込んだ。それでもプライドだけは人一倍高いから、他人と腹を割って刊き合えない。せっかくできた彼女との間も例外ではなかった。

「私、銀行に就職する」

「あんな愛想笑いしなきゃなんないとこは辞めとけ」

「でも・・」

「オレの言うことをきけよ」

結局、彼女とは大学4年の夏に別れることになる。が、オレの気持ちは収まらなかった。自分を傷つけたヤツは許せないと、イタズラ電話をかけ始めたのだ。当時は携帯なんて便利なアイテムはないから、公衆ボックスを見つけるたび彼女の自宅をプッシユし、誰かが出たらガチャ切り。公園のボックスで夜明かししたこともある。

自分も彼女と同じ金融に入ってやれと、某大手銀行の内定も決めた。一方、学内で見かけるたびゲッソリしていく彼女。快感だった。このパターンは前にもあった。瞬間、小島の顔がフラッシュバックする。ヤメてくれー。おまえは勝手に死んだんだ。オレのせいじゃない。
私の生命保険で借金を精算してください

銀行に入った途端、イタ電するヒマなどなくなった。当時はバブルの真っ只中。新人だろうとやればやっただけ評価されるため、人に誉められるのが好きなオレは寝る間も階しんで働き出した。が、それも長くは続かない。やり過ぎてしまったのだ。営業成績を上げたいばかりに土地転がし、架空口座と違法な手口に手を染めた挙げ句、懲戒免職に。25で無職となった。
オレをクビにするなんてバカな会社と恨んでも、タ刊紙で求人広告をチェック、神田の金融会社に出向くと、その場で採用となった。狭い雑居ビルに事務所を構えた街金は、まさしくナニワ金融道の世界。役割分担もなく、客を取ったら貸付も回収も全部自分の責任だ。返済が遅れた客がいれば「貸すときに見切れんかったテメェがアホなんだ」と罵声が飛ぶ。

凄いとこに来ちゃったと、最初こそ手こずりもしたが、やってみれば、実に性に合っていた。金を返さない客は、すなわちオレの評価を下げる憎い敵。どんな手を使ってでも服従させるのは、いままでやってきたことじゃないか。サラ金規制法はあっても、金を返さないヤツに遠慮などいらない。自宅に乗り込み壁を蹴り、テーブルをひっくり返し、タンスをかきまわした。高利貸しに返す金はなくとも、生活費が一銭もない家などない。仏壇の引き出しに10万入れてたオヤジもいるし、冷蔵庫に娘の宝貿を隠していたケースもある。

最悪、何も出なければサラ金を回らせりやいい。まさに水を得た魚とはこのこと。26、27才で月100万近くの金を稼ぎだし、毎日が楽しくて仕方なかった。客の1人が服毒自殺したのは、そんなある日のことだ。不動産があるということで、60才過ぎた芝崎さんに無担保で50万融資したのが半年前。ところが返済が遅れに遅れ、1年後に負債は500万に膨れ上がった。

「芝崎さん、そろそろ家に担保打たせてくださいよ。そうすれば金利も安くなりますし、あと1千万ぐらいは貸せますから」

建具屋をやっているとはいえ、500万の金はそう簡単にできるもんじゃない。オレは毎日、電話をかけ続け、芝崎さんはそれを苦に農薬目殺を図った。

「迷惑をかけました。私の生命保険金で借金を精算してください」

遺書にはオレが名指しされていたらしい。奥さんから電話をもらい葬儀に出向くと、親戚連中に呪みつけられた。まるで殺人事件の犯人でも見るようだ。開き直って焼香を済ませると、別室に通された。座布団もない座敷で奥さんが無口のうちに札を差し出す。まだ保険金は下りてないはずだから、もともと金はあったのだ。家の者に内緒の借金ってことは、あの50万円は遊ぶ金だったのだろうか。札を扇状に開き、銀行仕込みの腕で数える。印紙を貼った領収書を渡せば回収終了だ。社に戻ると、社長が普段と替わらぬ調子で「金は戻ってきたんだろ」と声をかけてきた。
こっから飛び降りる根性見せてみろー
芝崎のじいさんが死んで間もなく、オレは1人の客を捕まえる。コンサルタント会社を経営する野本(仮名)だ。自分名義の自宅マンションを担保に、希望どおり200万を貸し付けた。が、翌月にはもう返済が遅れ連絡が取れなくなった。当然のように会社の取引先に連絡、「借金を返してほしい」と伝言を頼んだ。
さすがに会社の信用問題となれば無視できなかったらしい。慌てて野本が事務所に駆け刊けてきた。

「お久しぶりですね。何してました。顔出してくれないんで寂しかったですよ」

「すみません」

「すみませんじゃ話が進まないだろこのアホ」

「はい・・」「いつ払うんじゃ」「いや、見当が」

「10万20万の金と違うんだぞーその辺のガキの方がまだ話がわかるぞアホ」

場慣れしてるのか、野本はオレの挑発にも乗らず、すみません、払えませんの一点張りだ。この時点で、時計の針は午後8時30分を回っていた。サラ金規制法では、取り立てていい時間を午後9時までと定めている。半分監禁状態で、個室に閉じこめて怒鳴りつけてるわけだから、出るところに出られたら弱い。かといって、このまま帰せば明朝の打ち合わせで報告できない。金も取れず、返済予定が決まらなけれはオレの評価に傷が付くではないか。

「あんたのせいでオレが無能呼ばわりされたら、どうやつて責任取ってくれるんだよ。どうするかハッキリしろー」

「そ、言われても・・」

冷静な口調にブチ切れた。

「おい、金も返さないでいつまでぐちゃぐちゃ言ってんだ。おまえがこっから飛び降りる根性見せたら待ってやるよ。ほら、飛んでみろよコラー」

脅しのつもりだった。いや、頭のどこかでは、オレをこんな窮地に追い込んだヤッは死んじまえ、と思っていた。しかし・・

「…わかりました。トイレ貸してください」

トボトボ廊下に出ていくおっさんの後ろ姿を見送ると、ほどなく、ビルの外が騒がしくなった。マジかよ…。

「森下くん、なんか騒がしいね」顔を出した上司に

「根性見せたんじゃないっすか」

と答えたものの、心臓はバクバク、体がブルブル震えた。野本の運転免許証を持った警察が訪ねてきたのはその直後だ。

「この方ご存じですか?」「うちのお客さんです」

「じゃあ、ちょっと署までご同行願えませんか」

サラ金規制法では時間だけでなく、暴言や脅迫的な取り立ても禁止している。警察署に行けば、追い込んだことがバレてしまう。任意なら拒否だと伝え、その場で事情を説明することにした。

「我が社と金銭貸借契約をされてたものですから、業務上の話でこられたんですよ。そしたら急に席をお立ちになって、私どももビックリしているわけでして・・」

2週間ほど経ったある日、奥さんが訪ねてきた。

「ご迷惑をおかけしました」

そ言いながら金を差し出す彼女の目は、憎しみに燃えていた。
土下座なんて不様なマネはできない

この一件は、さすがにオレをヘコませた。どうにも仕事に集中できずムクビ、あとは絵に描いたような転落劇である。職を転々とする間にギャンブルにハマり、気が付けば街金の取り立てに追い込まれる日々を送るようになっていた。

だが、人生、何が幸いするかわからない。実家に送られた催促状に驚いた両親が2千万もの借金を尻拭いした上、地元で就職先まで見つけてくれたのである。それが32才のときだ。地元のデパートで必死に働き、1年も経たずフロア責任者に抜てきされた。そして売上げも徐々に伸び始め一息ついた一昨年の夏、バイトでー人の女子大生が入ってくる。

仕事を教えるうち冗談を言い合う仲になり、飲みに誘ったのを機につきあいが始まった。土・日も仕事なので特別どこに行くわけでもないが、仕事が終わってから2人で過ごす時間は何ものにも代え難い。佳代子が大学を卒業したら、結婚してもいいと考えるようになった。

「森下君、××店へ行ってくれないか」

彼女とつきあい始めて半年、突然の辞令が下った。実績をかわれ、他店のテコ入れ要員に選ばれたのである。佳代子と今までのように会えなくなるが、将来のためにも頑張らないと。

「転勤っていっても隣の市だし、会いたくなったらいつでも会えるって」

佳代子にはそういい聞かせたが、いざ、店を変わってみると現実は厳しい。終業後に会うのは不可能だし、2人の休みもなかなか合わない。たまにゆっくり会えたと思えば共通の話題が少なく、気まずい沈黙が増えていく。

前みたいに会えないし、もう終わりにしましょと佳代子が別れを切り出してきた。予想してたはずなのに、そのことばを聞いた途端、目の前は真っ暗。改めて佳代子がどんなに心の支えになっていたのか思い知らされたのである。待ってくれ、もういっぺん考え直してくれ。本当は土下座して頼みたかった。が、プライドが捨てきれない。そんな不様なマネをしたら、今まで突っ張ってきた人生が無意味じやねえかと、つまらない意地が邪魔をするのだ。

「わかった。おまえがそういうなら仕方ないな」

口では冷静に答えたが、心の奥では怒りの炎が燃えたぎっていた。
佳代子にオレ以上の苦しみを味わせてやる。よし、まず手始めにイタ電だ。が、万一にも自分の仕業とわかるような証拠は残したくない。オレは隣県まで足を伸ばしプリペイド携帯を購入、184を付けて非通知で彼女の携帯にイタ電をかけまくった。非通知を拒否してくるのは予想の上だ。そうなったら

「お電話待ってます。0901・・。佳代子」

というショートメールを適当な携帯に送りつけるまで。見知らぬ男からスケべったらしい電話が何本も入れば、かなりのストレスになるはずだ。念には念を入れ、同じ文面のチラシを作り、パチンコ屋に停めてある車や自転車、公衆ボックスにもバラ撤いた。

指紋をつけないよう医療用ビニール手袋を装着、左手で書いた文面はコピーを繰り返し筆跡がわからないよう工夫した。ーカ月後、

「おかけになった番号は現在使われておりません」のアナウンスが流れ始めたときは思わず笑った。佳代子が困ってる証ではないか。しかし、それで手を引くオレじゃない。興信所に連絡。彼女の名と住所、自宅を告げ、新しい番号を探してもらった。

新しい番号を改めてメールやチラシでバラまくと、今度は2週間でストップ。新たに妹の名前で契約した番号も探し出し、同じ手口で潰してやった。そんな執勘な嫌がらせを繰り返しつつ、月に1度、前の店で開かれる勉強会で彼女と会う。

「しばらくだね。元気してる?」

生気のない佳代子に素知らぬ顔で声をかけ、どれだけ参ってるかをこの目で確かめる。「うん、元気だよ。森下さんはどう?」

彼女がムリして明るくふるまう姿を見たオレはこれまでにない満足感を味わっていた。
そして彼女はマンションから飛び降りた

佳代子への嫌がらせは、その後もどんどんエスカレートしていく。寿司にピザ、ラーメンを日替わりで何十人前と送りつけ、週に1度は、「3丁目の佐々木ですが6時に5台お願いします」と、タクシーを呼びつける。その合間に通販の申し込みだ。手袋をはめ、左手で筆ペンを使えば指紋も筆跡も残らないのを確認し、せっせとハガキを出す。タンスにテーブル、イスにソファ。洋服に健康食品にコンドームまで、ありとあらゆるものを佳代子の家に送ってやった。店の倉庫で見つけたネズミやゴキブリの死骸を郵便小包で届けたこともあれば、佳代子の出身校にクレーム電話をかけもした。

「お宅の卒業生で佐々木佳代子さんているだろ。あれはメチャクチャだぞ。クスリはやるわ男は漁るわで病気を色んな男にうつしてるって話じゃないか。ちゃんと指導してくれなくちゃ困るよ」

そんなある日、いつものように彼女の自宅にプリペイド携帯でイタ電していると、1コールもせずに父親が受話器を取った。

「いい加減にしろー迷惑してるんだぞー」

よせばいいのにそんなことを言うもんだから、オレはもっと迷惑してもらおうと決意してしまう。通販の送り主を佳代子から父親に変更、勤務先に商品を送りつけたのだ。

しかも、ただ品物が届くだけでは能がないと、高利貸しに証券会社、先物取引、カッラに墓石など、セールスマンに会社を訪ねてくれるよう書き添える手の込みよう。

人事部長という要職に就く父親の元に、精力剤や痔薬をすすめる営業マンがやってきたら…。

そう考えるだけで痛快だ。もし佳代子が「ごめんなさい」と一口謝ってくれたらオレの気持ちは晴れたのかもしれない。

だが、勉強会で顔を合わせても彼女はうつむくだけ。オレは自分を止める理由が見つからなかった。

「何かあった?」佳代子から携帯に電話が入ったのは、別れて半年経ったころだ。

「いやあんたと別れてからイタズラ電話が酷くて。お父さんの会社にもいろんな荷物が届いてるし。あんたと違うよね?」

彼女の声は震えていた。相当、参っているのだろう、それに満足しながらオレは答えた。

「ふーん、かもしれないな」

えっ2日後、彼女は近所のマンションから飛び降り自殺した。

★自殺した4人は、オレに関係なく死ぬ運命だったのだ。こうして思い出してみても、罪悪感など微塵もない。ただ最近、電車を待つホームや高いビルに上ると、なぜか足を踏み出しそうになる。そろそろオレにも運命のときが来たのだろうか。