本当にあったリアルな怖い話・恐怖の事件 ~現代の怪談~

なんだかんだで生きている人間が一番怖い・現代の怪談ともいえる本当にあった怖い話や恐怖の未解決事件です。

一家失踪・遺体発見に怪しい容疑者が見つかるも追及されない謎

1958年12月7日、米オレゴン州ポートランド北東部ローズウェイに住むケネス・マーティン(当時54歳)、妻バーバラ(同48歳)、長女バービー(14歳)、次女スーザン(13歳)、三女バージニア(11歳)の5人が、自宅からそう遠くないコロンビア渓谷の田園地帯に向け、1954年製フォードステーションワゴンでドライブ旅行に出かけた。

彼らの計画では13時に家を出て渓谷の自然を満喫し、クリスマスツリーになるような木と装飾用の草葉を集め、その日の夕方には家に戻る予定だった。

これは、前日の夜、ケネスとバーバラが近所で開かれたクリスマスパーティに出席した際、友人に話していたことから明らかになった事実である。
しかし、マーティン一家は翌日になっても戻らなかった。心配した近隣住民から連絡を受けた地元警察は7日の16時頃、一家が自宅から約64キロ離れた国道沿いのガソリンスタンドで給油した後、オレゴン州フッドリバーのレストランで目撃されていることを突き止めた。

が、それ以降の足取りは一切不明。いったい彼らはどこに消えたのか。
家宅捜索でも何の異常も見つからなかった。洗濯機には洗濯物があり、キッチンのシンクには食事を終えた後の皿が浸かっており、多額の現金も残されたまま。一家が失踪する理由はまるでない。そこで警察は、家族の車が何らかの事情でコロンビア川に転落し、流されたものと推測。

捜索の結果、コロンビア川沿いの道路から不審なタイヤ痕や、マーティン一家の車と同じメーカー、モデル、配色の車からのものと思われる塗料の欠片が見つかったが、具体的な物証は皆無。念のため、米陸軍の工兵隊が川底を探査したものの、何の成果も得られなかった。
 

一方、マーティン一家が行方不明になったのと同じ日に、一家の車が通ったと思われる場所からそう遠くないカスケードロックスで、白いシボレーが放置されているのが見つかっていた。ナンバーから、車は現場から1千キロ以上離れたカリフォルニアで盗まれたものと判明。3週間後の28日、車が放置された場所の近くに、普段、バーバラが着用していたものと類似する女性物の手袋が落ち、茂みの中に銃身に乾いた血のついたピストルが隠されているのが発見された。
そして、警察はほどなく車を盗んだ2人組の男を特定する。どちらも元受刑者で、マーティン一家が最後に目撃されたレストランで働いていたウェイトレスの証言から、彼ら2人が一家と同じ時間に店におり、同じ時刻に店から出ていったことがわかった。
明らかに不審で、彼らが一家の失踪に関与している可能性は十分ありうる。しかし、警察はなぜか2人を追及せず、手袋や拳銃についても調べることはなかった。
 失踪から6ヶ月後の1959年5月3日、事態は大きく動く。盗難車が放置されていたカスケードロックスにほど近いコロンビア川の下流の岸で次女スーザンの遺体が見つかったのだ。そして、翌4日には約50キロ離れたボンネビル・ダムの近くで三女バ
ージニアの遺体発見。2人とも識別できないほど腐食が進んでいたが、バージニアの遺体の頭蓋骨に穴が開いていることが確認された。しかし、司法解剖の結果、検視官は死因は2人とも溺死と断定。その後、周辺一帯で大がかりな捜索が行われるも、残る3人の遺体は見つからなかった。
 警察は、最終的に一家の主人ケネスが運転を誤って車を川に転落させた事故と断定づけた。

が、その結論には疑わしい部分もある。警察は捜査の過程で、盗難車の近くで見つかった拳銃が売られていたデパートを特定していた。

実は、マーティン一家には事件当時ニューヨーク海軍基地で働いていた長男ドナルド・マーティン(28歳)がおり、彼はかつてそのデパートで働いていただけでなく、まさにその拳銃を盗んだ容疑で逮捕されていたことが明らかになったのだ。
さらに関係者へ聞き込みを続けると、ドナルドは家族とかなり仲が悪く、失踪した家族の捜索に一切協力しないばかりか、彼らの追悼式にも出席していなかった。警察は重要容疑者としてドナルドに接触したが、確固たる証拠はなし。結局、彼は逮捕されることなく2003年に死去した。
 さらに不思議なのは、シボレーを盗んだ前科者の2人組を警察が簡単に捜査の対象外にしたことだ。意図的に追及を怠ったとしか思えない不自然さ。真相は不明ながら、そこに闇が隠されていた疑いは拭いきれないだろう。