本当にあったリアルな怖い話・恐怖の事件 ~現代の怪談~

なんだかんだで生きている人間が一番怖い・現代の怪談ともいえる本当にあった怖い話や恐怖の未解決事件です。

心霊スポットを撮影しビデオ販売で一儲けを企んだら

心霊ビデオ販売で一儲けを企んだオレは、カメラマンA、音声B、ディレクターcの3人を集め、北区の墓池や嵐山電鉄の踏切など、京都の強烈スポットに出向いた。
各所で奇怪な音声や影の収録に成功したオレたちは、より過激なシーンを求めて東山
トンネルへ出向いたのだが、そこで突然Bのアタマがおかしくなり、失跨してしまった。
後にVTRを再生すると、何もないはずのトンネル内部の地面に、女性の目が。
と、まあ話はここで終わり、撮影も中断されたままになっていた。
しかし、その3カ月後、事情が一変した。失そう中のBがオレの元へ電話をかけてきたのだ。
「迷惑かけてすまんかつた。実は今、○×寺におるねん。出家しようかと思って:。」
『そうかあ」
深く沈んだ声を聞いてそれ以上何も追及できなかったが、これで一安心。
新たな恐怖と巡り合うとも知る由もないオレは、撮影を再開させたのだった。

Bに代わる新たな音声を雇い入れ、オレたちが出向いたスポットをザッと挙げよう。
・高校の旧校舎(自殺した学生が出る)
・野戦病院跡(軍服を着た日本兵が夜ごと行進)
・幽霊ホテル(火災で焼け落ちた建物の窓から人が手招きする)
各ポイントでそれなりの絵を収めた我々が、最後に向かったのが〃醍醐幼稚園(通称)〃である。
現場の様子に先立ち、その由来を説明しておこう。
正式名称は『青風端山幼稚園」。旧数年前、ノイローゼの保母がとある園児を殺害、自身も教室のピアノで首つり自殺したと言われるところだ。
心霊ビデオの栄えあるラストを飾るのに、これ以上相応しい場所はなかろう。
さっそくプロュースの機材を車に積み込み、現地へ車を走らせた。
京都市内を抜け国道1号線を北上する。朽ち果てた幼稚園を覆い隠す木々が眼前に現れた。これまで訪れた場所の中でも一、二を争う気色悪さである
とりあえず、機材片手に正門から園内へ侵入。と、目の前には行く手を阻むかのように、校舎が.の字型にそびえ立っていた。
建物に囲まれた中庭のドコかに、園児が埋められているという。
「ここら辺やね」
ディレクターのCが地面を指さすと、霊感の強い協力者が震え始めた。
「ヤバイつすね。トンネル並にヤバイ感じです」
「またまた、怖いこと言うなって。Bかて、寺に龍ってるけど、結局は無事だったんやし、平気やろ」
「そうや、そうや。仮に霊がおったとしても、オレらの気の持ちようやで」
怖い物知らずのCが中へずんずん突き進み、右手校舎の3階にさっそくピアノを発見した。これが首つり現場か?
カメラマンのAが暗視用カメラを三脚で固定。録画ボタンを押して、我々一堂はいったん外に出る。
その後、天井が崩れ落ち、床が腐敗している体育館をやり過ごし、もう1つの校舎へ脚を踏み入れたそのときだ。
【キーン、キーン】
突然、耳鳴りに襲われた。
な、なんやコレ。周囲をそ〜っと見渡せば、クルー全員が耳を押さえている。
霊感も霊も信じてない人間がなんでそんな真似する必要がある。イタズラもたいがいにせいよ!
「おい!今、女が笑ってる声がせえへんかつたか?」
「アホなこと言うな。風に決まってるやろ」
「そしたら、何でみんな耳を抑えてんねん。ほんまは耳鳴りしとんのやる・なあ!」
一堂に激しい動揺が走る。
「一体ここはなんやねん…」
Cが咳いた。
いったん外に出て、冷静さを取り戻した我々は再び校舎の中をさまよい歩いた。
崩れかけの階段。床板がめくれ、荒みきった廊下。その先の教室へ進むと、ポッリともう1台のピアノが。むちやくちや異様な雰囲気だが、もしかして、コッチが自殺現場か?

「コレ、・・・やな」
「あ、ああ」
デジカメを構え、パシャリパシャリと撮りまくる。と、そのときだ。
パリンッ!
突然、バッテリーライトの電球が破裂した。
「うぎや〜」
「な、なんや〜」
「電球が破裂しよった〜」
「何ビビってんねん。早く次の準備せや!」
照明の尻を叩きつつ、両足の震えがとまらないオレ。もうええ。もう十分やろ!

 

ビデオの作業に取りかかると、突然、担当のEが素っ頓狂な声を

「あれ?ピアノの音してるけど、誰か現場で触ってました?」
「はぁ?何言うてんのん。そんな気色悪いもん、誰も触らんわ。勘違いやろ」
「ちゃいますって.ほな、聞いてください」
〔,リロリロリ…j〕
微かだが、メロディらしき音が確かに聞こえてくる。そんな、アホな・か、風の音やろ…。
「これヤバくないつすか?」
「……。でも、ようけ売れるんちやうかな」
「Bさんの件もあるし、こわいスわ…」
「アホ、Bは関係ないやろⅡはよ、この幼稚園をメインに編集にかかれや!」
Bの一件でEが不安になるのもムリはない。が、それを意識するあまり、風の音をメ
ロディと間き間違えたのだろう。ま、本物のヤバイ音なら、
それはそれでええねん。売るときの話題になるしな。翌日、あらためてEの元を
訪れたオレは、予想だにしない展開に呆然とするのだった。
「あきまへん」
「はあ?いったいどうしたんや?」
「幼稚園の部分をマックのディスクに吸い上げたんですけど、再起動後マシンが固まったままなんですわ」
「はぁ?そんなもん修復ソフトを使ったらええやん」
「せやけどディスクを認識しないんすわ」
修復ソフトがディスクを認識しないなんて普通じゃ考えられない。よほどマシンに負担をかけたのだろう。
「ほな、しやあないなぁ。その部分だけ、ワシのマックでやるわ」
オレの買ったばかりの最新機種なら、そんな不備はありえない。
が、自宅で幼稚園の素材をマシンに移し替えた途端、Eと同様にパソコンがまったく動かなくなったのだ。
「素材が呪われてたりして」
冗談ともつかない表情でEが咳く。どいつもこいつもアホなことばかり言いやがって。
ビデオの中に、何かデイスクに悪影響を及ぼすデータが入っていたのだろう。
そこで面倒を承知でいったんベータカム(映像業界で主流のアナログビデオ)にダビングし、そこからデジタルデータに変換しようと試みた。
が、この策も無駄足に終わった。今度は元のビデオが再生できなくなったのだ。
結露(細かい水滴でテープが動かなくなる)ではないし、バッテリーも十分。故障原因はまったくの不明である。
「しやあない。こ’なったら、ポスプロ(高価な編集スタジオ)に持ち込むしかないな」
「わかりました。ほな、今から速攻で行ってきますわ」
素材を抱え、Eが部屋を出ると、入れ違いでカメラマンのAがやってきた。
なんと、100枚ほど撮影したデジカメの写真が、わずか数枚を残し?ほとんど真っ黒で使えなくなってるという。
現場では何度も確認したハズなのに、今さらなんでそんなことになっているのだ。まさか、ビデオも…。
イヤな予感は的中した。