本当にあったリアルな怖い話・恐怖の事件 ~現代の怪談~

なんだかんだで生きている人間が一番怖い・現代の怪談ともいえる本当にあった怖い話や恐怖の未解決事件です。

性器と乳首が切り取られた全裸女性のバラバラ殺人事件

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事件は、クワガタ取りの小学生が、奈良県の山林で惨殺死体を見つけたことから始まる。子供たちの知らせを聞いた親の通報で奈良県警高田署員が駆けつけると、農道脇のガレキに全裸女性のバラバラ死体が無造作に散らばっている。

見れば、頭、両腕、胴体、両足と六分割され、そばに捨てられた血の付いた械題で運ばれたのか、現場から山道端まで点々と血痕が続いていた。

奈良県警は遺体を収容するとともに高田署に捜査本部を設置、

死体遺棄、死体損壊博件として捜査を開始した。

遺体の状況から判明した事実は次のとおりだ。

被害者は身長150センチ、体重60キロの小太りで、色白、肩まである髪を茶色に染めた二五ー四五才の女性。さらに奈良県立医大で司法解剖したところ、性器と乳首が鋭い刃物で切り取られ、腔からは男の精液が検出された。

また、胃の内容物の消化から食後ニ時間後に死んでおり死後二日以内であることもわかった。残忍な手口から、捜査本部は「痴情絡みの恨みを持つ者の犯行」とみて、被害者の似顔絵を公開。身元割り出しを急いだ

同時に、現場がゴミの不法投棄者以外、滅多に人が人らない山林であったことから、土地勘を持つ者の犯行と推測、性犯罪の前歴者などの洗い出しにも着手した。

遺体発見から五日後の被害者が判明する。大阪府富田林市の知的障害者施設の寮生・木下めぐみさん(仮名、一九才)だ。

木下さんは四月一六日朝、富田林市内のクリーニング店に職業実習に出たまま行方不明になっており、捜索願が出ていた。
施設関係者にきき込みを行うと、彼女がよく大阪の新世界付近に出かけていたとの情報が得られる。これまでもたびたび一人で遊びに行っては外泊することもあったらしい。捜査員が情報を元に足取りを追うと、さらに意外なことが判明した。木下さんは新世界の飲食店で働く傍ら、街娼のようなことをしていたというのだ。

新世界界隈では、通りに立つ彼女の目撃談が山ほど出てきた。果たして、容疑者候補として捜査本部のリストに上がった数は五〇〇人。捜査員総出のローラー作戦が始まった。

指紋鑑定の結果は完全に一致するとは思えない。有力な手がかりもつかめないまま、三カ月が過ぎようとしていた九月六日、捜査本部に1通の手紙が届く。

宛名は「警察署長様」、差出人は「怪人二一面相」だった。当時、世間を騒がせていた、「グリコ・森永事件」の犯人をマネした挑戦状である。

『木下めぐみはオレが殺した。捕まえられるものなら、捕まえてみろ』
定規を出てながら書いたようなボールペンの文字で、殺害直前に木下さんを浪速区内の寿司屋に連れて行き、一緒に巻き寿司を食べたこと。遺体をどの部分から切断し、どのように運んだかなど、犯行が具体的に記されていた。

司法解剖の結果、胃から寿司のごはん粒が検出されたことは、報道陣にも明らかにされていなかった。まさに犯人だけしか知り得ない「秘密の暴露」である。

捜査本部は俄然、執念を燃やした。死体発見現場が山道脇であることから、犯人は車を使用した可能性が高い。盗難車や事故車の捜索と共に、各レンタル会社に利用状況を照会、事件前後に車を借りた人物の動向調査を開始する。

その結果、一人の男が浮かび上がった。角田利男(仮名、当時四五才)。頻繁にレンタカーを利用する西成区在住のこの男は、新世界付近で衣類の行商をしており、木下さんとも面識があった。

さらに木下さんの遺体が発見された直後に突然転居していること、二〇年ほど前には現場近くの奈良県大和高田市に住んでいたことも判明。捜査本部は角田への容疑を深め、身辺調査を開始した。

ところが、そのことに気づくや角田は犯行を否定する手紙を高田警察署長宛てに送りつける。

「わしを疑っとるようだが、それは違う。いま東京にいるので、こちらから会いにいけませんが…」

ご丁寧にも、新大阪発東京行きの新幹線切符が一枚同封されていた。捜査本部にとつては願ってもないチャンスである。実は、犯人からの挑戦状には、不鮮明ながら指紋の一部が残されていた。

もし、角田の指紋と合致すれば事件は一気に解決だ。捜査本部は、角田が実名で書いてきた手紙から指紋を採取し、鑑定にかける。しかし、当時の鑑定技術の未熟さも手
伝い「完全に一致するとは言えない」という結果に終わってしまう。

こうして捜査は振り出しに戻り、木下さん殺害事件は迷宮入りの様相を見せ始めた。

行方不明の小3女児は全裸で白骨化していた

第二の事件が起きたのは、八七年一月二二日。大阪市住吉区の小三女児・野田美紀子ちゃん(仮名、九才)が、そろばん塾からの帰り道で行方不明になったのだ。

途中でたまたま目撃した同級生によると、車に乗ったひとりの中年男が「住吉大社はどう行けばいいの?」と美紀子ちゃんに尋ねていたらしい。そして彼女が道順を教えると、男は「もっと詳しく教えてほしい」と二〇〇円を渡し、美紀子ちゃんを乗せ走り去ったのだという。通報を受けた大阪府警捜査一課と管轄の住吉署は捜査本部を設置。「身代金目的の誘拐の可能性もある」とみて、密かに野田さん宅に捜査員を派遺し、犯人からの連絡を待った。

しかし、二日間経っても何の接触もない。捜査本部はイタズラ目的の可能性も高いと、次に公開捜査に踏み切る。

ただし、同級生が見た「車に乗った中年男」の似顔絵は、記憶があいまいなため一般公開せず、捜査本部だけの内部資料とされた。一月下旬、美紀子ちゃんが通っていた小学校と自宅に、「身代金三千万を用意しろ」との電話が入る。心配していた両親はすぐさま金を用意、指定された引き渡し場所に出向いた。

しかし、いくら待っても犯入は現れず、そのまま連絡は途絶えてしまう。捜査本部は「事件を報道などで知った者による悪質な便乗的イタズラ」と、録音した声を保存するに止めた。連日、三〇〇人以上の捜査員が付近の神社や公園、河川、宿泊施設などを捜索する他、PTAや町内会関係者も五万枚のビラを配布して、必死に80美紀子ちゃんの手がかりを探した。

しかしその甲斐なく、八七年五月四日、事件は最悪の結末を迎える。大阪府豊能郡豊能町の山中に一家でワラビ摘みに来ていた主婦が、白骨化した女児の全裸死体を発見。三日後には歯の治療痕が決め手となり、美紀子ちゃんであることが断定されたのである。遺体の状況から死後三カ月は経っていた。美紀子ちゃんは連れ去られた直後に殺害されたらしい。金目的というより変質者の犯行との見方を強めた捜査本部は、住吉区と豊能町の双方に土地勘がある近畿地区の性犯罪前歴者約一五〇〇人をリストアップ、絞り込みを進める

小3少女を惨殺した犯人を許すな。捜査員の意気込みは、大阪府警が三年以上も専従体制を解かず捜査を行ったことからもうかがえる。が、結局のところ有力な情報はつかめ
ずういに捜査本部は解散した。

当時、府警幹部は「グリコ・森永事件以外で最も悔しい未解決事件の1つ」と語った。2人の被害者はともに飛田新地のコンパニオン

美紀子ちゃん事件からヒ年後の九四年、その遺体発見現場にほど近い大阪府箕面市のヒノキ林で、成人女性のバラパラ死体が見つかった。発見したのは、近くで山仕事をしていた農業の男性である。

「最初はマネキンかと思ったが、足の付け根が黒くなってたので人形じゃないとわかった」

近くの駐在所から箕面署に連絡が人り、府警捜査一課は殺人・死体遺棄事件とみて、同署に捜査本部を設置する。被害者の年齢は三〇ー五〇才とみられ、死後推定一〇日前後。全裸のままパーツに切り刻まれ、ーカ所にまとまって投棄されていた。

さらに詳しい現場検証を行っていた捜査員が、なんと今度は五〇メートルしか離れていない場所で別の成人女性のバラバラ死体を発見する。ほとんど白骨化しており、年齢は四〇ー六〇才。死後、一年は経っているようだ。2つの死体の発見場所が近いことや、いずれもノコギリのような刃物でパラバラにされていること。さらに、ーカ所にまとめて捨てられていることなど共通点が多いことから、捜査本部は同一犯の犯行である可能性も高いと推定。真っ先に、コンピューターグラフィックスで復元した女性の顔写真を公開するなどして、被害者の身元の割り出しを急いだ。

必死の捜査の未、ようやく2人が、大阪市西成区の飛田新地周辺で働くコンパニオンであることが判明する。ご存じ飛田新地は、赤線が六〇軒ほど集まるちょんの間街で「自由恋愛」を建前に黙認されてるとはいえ警察とは犬猿の仲。事情聴取しようにも関係者たちの口は一様に重い。

それでもどうにか聞き込みを続けるうち、飛川新地の女性らを相手に衣類の行商をする男が容疑者として浮上してきた。
バラバラ殺人事件の捜査本部は、疑惑の男の行動を徹底的に洗った。その結果、遺体発見現場沿いの林道や国道を利用して頻繁に京都方面へ出かけていること。失跡した時期に二度とも転居し、姿をくらましていた事実をつかむ。

さらに2人とも面識があり、失跨直前に近くの公園で話し込んでいたという情報まで艇び込んできた。容疑はいよいよ深まっていく。しかし、出てくるのは状況証拠ばかり。犯行を裏付けるには、どうしても物証が必要だった。そんなとき、一人の捜査員が咳いた。
「こいつ、美紀子ちゃん事件の似顔絵に似てないか」

確かに言われてみれば、同級生の証言を元に作成した、「車から声をかけてきた中年男」に似てる。しかも、美紀子ちゃんの遺体が見つかった現場も、津田さんや大野さんのバラバラ死体が見つかった地点と同じ林道で結ばれている。

すなわち、角田が仕事でよく通る道だ。捜査本部はこれら多くの関連性から角田に強い関心を寄せながらも、犯行手口の違いが引っかかっていた。

「美紀子ちゃんはバラバラにされてないし、他の二人と年齢に開きがある。本当に角田の犯行か?」

そこで過去に類似の未解決事件がないかどうか洗い値した結果、浮かんできたのが木下めぐみさん事件だった。被害者がいずれも飛田界隈の女性で、失跨後、短時間で殺害されたこと、バラバラ死体がーカ所にまとめて捨ててあったことなど、津田、大野さん事件と手口が酷似。

さらに、当時の奈良県警の捜査本部が重要参考人とみていた事実をつかみ、捜査員は角田の犯行を確信する。

「ヤツを引っ張れ」

九五年四月一〇日、県警は大阪市中央区の衣料会社倉庫からスラックスを盗んだ容疑を固め、角田を窃盗容疑で逮捕に持ち込む。この男、盗んだ衣類を転売して生計を立てていたのである。

もちろん、府警の目的は他にあった。採取した角田の指紋と、木下さん事件の挑戦状に残されていた指紋を改めて照合しようと考えたのだ。果たして、指紋は見事に一致した。一〇年という時を経て、指紋照合技術は格段の進歩を遂げていた。
①85年6月17日木下めぐみさん

②94年4月3日津田君江さん

③94年4月4日大野多香子さん

④87年5月4日野田美紀子ちゃん
これを受け、大阪府警と奈良県警は合同捜査本部を設置。木下さん事件への取り調べを開始する。ただし、角田の犯行を示す物証は挑戦状の指紋と合致したという鑑定結果の
み。いくら有力とはいえ、直接、殺害を示すものではない。殺人事件の容疑者として逮捕に持ち込むには、全面自供に追い込むしか手がない。しかし、角田はガンとして犯行を否認した。
別れた妻が自供を促す手紙を
「元妻を引っぱり出しましょう」

ある刑事が、一制を提案した。角田の別れた妻に、自供を促す手紙を書かせてはどうかというのだ。角田は昭和四五年に一人目の妻と死別、その間に生まれた二人の子を連れて別の女性と再婚していた。

この二人目の妻が出来た女性で、角田がスナックのママの情夫となって家を能び出した後も残された子供を育て、また過去に角田が窃盗罪で刑務所に入った際も面倒を見続けていた。

結局、昭和五四年に離婚してしまうが、角田にとって生涯頭の上がらない女性だった。紹捜査本部はこの女性を探し出し、角田が《ある罪》で拘留され、かたくなに供述を拒んでいることを話し、協力を求めた。女性は申し出に応じた。

『あなたには子供も2人いるじゃないですか。あの子たちに恥ずかしい思いをさせないよう、しっかりした態度をとってください。やってしまったことは仕方ありません。刑事さんにすべてを話してください』

元妻の手紙を読んだ角田は、予想以上の反応を見せた。見る間に表情を崩し、しきりに瞬きを繰り返し始めたのだ。ここぞとばかり刑事が畳みかける。

「奥さんはなあ、こうも言ってたぞ。『子供たちにもしお父ちゃんのことで世間からのけものにされたら、かァちゃんのところへ来なさい。いつでもあんたらのこと守ったるって伝えてほしい』ってな」

「--私が殺しました」
角田はそう口を開くと、一挙に自供を始めた。

「木下さんとは新世界で知り合いました。援助交際の約束で私のアパートでセックスし
たんですが、一万円じゃ少ないと言われ、カッとなって殺してしまいました」

美紀子ちゃんは可愛い子だったので思わず自宅に連れ帰ったが、イタズラしようとしたところ、騒がれたので首を絞めたという。バラバラにしなかったのは、単に「軽くて持ち運びやすかったから」
世間を震憾させた連続バラバラ殺人事件は10年の月日を経て解決をみた。津田さんと大野さんの場合も木下さんと同様、援交約束で自宅アパートに連れ込み、金のことでもめて殺害したという。

「四人ともおまえの犯行だと認めるんだな」

「はい。それと、木下さんの前にもう一人殺しています」

「何だって」

「それも飛田新地の女性で名前も知りません。死体は神戸の山に捨てたんです」

自供に基づき神戸市西区の雑木林を捜索すると、成人女性の頭蓋骨などが見つかった。被害者は、八五年五月に失綜していた林百合子さん(仮名四六才)で、やはり金銭トラブルの果てに殺害されていた。

当局は、これら角田による一連の犯行を重要事件と判断、『警察庁指定一二二号』と指定した。
角田は五人の殺人容疑で起訴されたが、公判が始まるとそれまでの態度を一転、無罪を主張した。

「自白は警察官に暴行を受けて、強要されました。殺したのは知人で、自分は遺体を運ぶのを手伝っただけです」

しかし、捜査本部も把握していない事件を自ら供述したことなどから、九九年三月二四日の一審判決は死刑。二審判決でも死刑が下された。

愛媛県大洲市の遊郭の家に生まれた角田は、そのことを非常に嫌がっていたそうだ。その彼が、飛田の女性たちを殺した罪で裁かれるとは何かの因果だろうか。