本当にあったリアルな怖い話・恐怖の事件 ~現代の怪談~

なんだかんだで生きている人間が一番怖い・現代の怪談ともいえる本当にあった怖い話や恐怖の未解決事件です。

東京第一ホテル女性歯科医殺害事件

1972年6月26日午前9時、東京都港区新橋の第一ホテル新館の一室で熊本県の歯科医、谷脇キヌコさん(当時37歳。既婚)の絞殺体が発見された。

 

遺体は全裸で、当時流行りの黄色い胸当てパンタロン、ブラカップスリップ、ショーツなどがかぶせてあり、鑑定の結果、死亡後姦淫されていることも判明した。
谷脇さんは前日の25日、同郷の友人男性医師2人と霞が関で開かれた日本歯科医師会の講習会に出席の後、3人で西銀座の焼き鳥屋で夕食をとり、19時頃に「疲れたから先に帰る」と店を出て宿泊先の第一ホテルへ。1時間半後の20時30分頃、何者かに殺害されたものと推定された。状況から彼女が犯人を部屋に招き入れたことは明らかで、顔見知りの犯行が濃厚だった。
そこでまず疑われたのが一緒に食事をとった2人の友人男性だ。彼らは谷脇さんが先に帰った後、映画を観ていたが、そのうちの1人が20時30分頃、自分も気分が悪いと同ホテルへ戻っていた。彼は部屋に戻り週刊誌を読んでいたというが、アリバイはない。

しかし、被害女性の体内に残っていた精液と血液型が一致しなかったため容疑は晴れる。
 

次に警察が調べたのが、谷脇さんの交友関係だ。彼女はこれまで前記の講習会に何度も出席しており、30人いる参加者で唯一の女性。いつも新しいファッションを着こなして「女王様」と冷やかされていた。実際、東京を訪れた際はいつもダンスホールなどで遊び歩いていたことがわかった。
 

やがて捜査線上に東京に住む1人の男性が浮かぶ。谷脇さんの出身校、九州歯科大学の2年先輩で、彼女とは3年前から不倫関係にあった歯科医だ。

今回も、谷脇さんが上京した24日夕方から25日の朝方にかけて密会しており、このとき、彼女は一緒に上京した医師2人に「親戚の家に行く」と嘘をついていたそうだ。痴情のもつれで、この歯科医が犯行に及んだのか。だが、鑑定の結果、遺体が発見された部屋から見つかった指紋や血液型は男性歯科医とは一致しないことが判明。彼もまた犯人ではなかった。


谷脇さんは誰に殺害されたのか。顔見知りの犯行に絞った警察は、彼女の行きつけだったダンスホールの男性客や講習会のメンバー、九州歯科大学の同窓生などを徹底的に調べ上げたものの有力な手がかりは摑めない。事件から5年後に重要参考人として発表された東京の歯科大学の元教授も、密告者による虚偽の通報であることがわかった。美人女性歯科医。不倫。夜遊び。事件は週刊誌の恰好のネタとして派手に報道され、真相はそのまま闇に葬られた。