埼玉の性都、西川口の本サロは電飾看板が消え正面入りロのシャッターが下りているのはあくまで表向き。中ではこつそり営業してる店が少なくないのだ。
6 月下旬、西川ロを訪れた俺は、『隠れ営業』しているSに飛び込んだ。
西川ロの場合情報館に各店舗のアルバムが置かれており顔写真を見ながら、好みの女のコを指名。店に予約を入れてもらうのが遊び方だ。
当然、現在のアルバムはへルスなどの非本番店ばかりだが、実はこの中に本サロの姿もチラホラ。見る人間が見れば、両者の違いは一目瞭然なのである。
この日も、またすぐに気がついた。
45分でプレイ代1万1万6千、指名料2 千円、しめて1万8 千円。お高めの値段設定からして、この店本番がヤレるに違いない。
さっそく、熊田曜子似のグラマ—タイプ.香織を指名、情報館で教えられた雑居ビルの裏階段から店に入った。規定の料金を払い、プレイル—ムで待つこと5分、女のコが現れた。
「指名ありがと」
うわ、写真よりも断然、力ワイイじやん。
シャワ—を浴び、ベッドに移動。抜群のフェラテクを堪能した後は、いよいよ本番と思いきや、彼女が恥ずかしそうに眩く。
「…あのね、私ゴ厶嫌いなんだ」
え?西川ロではゴム付きが常識だけど、もしかして…。
「ナマでもいいよ」
マジ!?いや〜なんてイイ子なんでしよ。
大喜びで正常位になり生挿入。ものの一分で発射し、満足げにタバコをふかしていると、彼女が耳元で囁いた。
「ねえ今度、外で会って、ホテルでエッチしない?」
「え、どういうこと?」
「あなた、タイプだしもっとゆっくりエッチしたいのよ。ホテルなら、時間とか気にし
ないで何回でも出来るじゃん。1万円でいいから」
ていうことは、ホテル代の4千円を含めても、合計1 万4 千円程度で遊べるのか。これだけの女なら、オカワリも悪くないかもしれん。
3日後、香織とラブホで合体した俺はたった一万円で、3発ヌイてもらった。か〜、俺はオマエがいれば生きていけるぞ。大満足のまま、2 人してホテルを出る。と、そのとき、突然、3 人の男に取り囲まれた。な、なんだ?
「おい、香織!こんなトコでなにしてんだ。最近、休みが多いから怪しいとは思ったけどよ」
「ど、どうしてここがわかったんですか?」
「おまえが男とホテル入るの見たってヤツから連絡あったんだよ。何やってんだオマ
ェ!」
「店長、すいません…」
店長?こいつら、店の人間か
「なぁ、兄さんよ!おまえ、自分のしたこと分かってんだろうな。話聞かせてもらうぞ」
「え?」
有無を言わさず両腕をつかまれ、近くの雑居ビルの一室に連行された。どうやら店の事務所のようだ。
「おまえ、うちの女と外で金渡して遊んだろ。ソレ、直接取引って言ってなこの世界じゃご法度なんだよ」
確かに、女のコに個人営業をされたら店は死活問題だけど…ここはゴマかすしかない
「ちよ、直接取引なんてしてません。僕は彼女をナンパしただけで…」
苦し紛れの言い訳をかますす俺に、店長が香織から取り上げた携帯の液晶画面を見せつけた。
1万でイイんだよね?5時にね。楽しみ楽しみ。よろぴく〜
す'す'すいません、ウソついてました!
おまえも共犯だろ。半額の10万出せよ
完全に頭の中が真つ白になった途端、店長がいきなり香織の顔を平手で殴りつけた。ひ〜。
「直接取引したらどぅなるか知ってるだろ!ナメてんのかテメ——」
店長が壁に貼られた『罰金』を指差す。そこには、直接取引が発覚した場合、即座に解雇、罰金として2 0万を支払えとあつた。
「すいません今はコレしかありません…」
うなだれた香織から10万を受け取ると、今度は俺に矛先を向けてきた。
「なぁ、兄さんイイ思いしたんだろ?おまえも共犯だよな。半額の10万出してやれよ!」
一刻も早く解放されたかった俺は店長に言われるがまま、銀行へ。全財産の7 万8千円を差し出し、どうにか釈放されたのだった。
すっかり忘れかけていた頃俺はとある風俗掲示板の書き込みに目を奪われた。
ホテルから出てきた瞬間、店員数名で取り囲み、事務に連行、罰金の半額を男に求める
って
まんま同じ!
風俗ファンの友人によれば、売り上げが激減した店が、店を閉めることもできずに、止む無く手を染めているらしい。くそ〜。