本当にあったリアルな怖い話・恐怖の事件 ~現代の怪談~

なんだかんだで生きている人間が一番怖い・現代の怪談ともいえる本当にあった怖い話や恐怖の未解決事件です。

老人ホームの介護士による怖すぎる虐待これはもう殺人事件だ

※この話はフィクションです

「鬼畜保母の幼児虐待レポート」を読み、つい無数の出来事が頭をよぎった。

虐待。僕も同じようなことをし ていたものだ。

殴る、蹴る、熱湯をかける。相手を容赦なくイジメたときに訪れる万能感は、 クセになりそうなほどの魅力があった。

事実、あの職場における楽しみなんてそれぐらいしかなかったのだ。

いやしかしあれは、虐待なんてものではなかったのかもしれない。 なにせ僕はボケ老人を2人も殺めてしまったのだから。

出勤初日からババアのオムツ替え 

僕は、ミイラのようにひからびた女性器を前に途方に暮れていた。ベッドでは下半身丸だしの老婆がぽかんと口を開けて天を仰いで いる。先輩が見かねて、僕から紙オムツを

「オムツをひいてから腰をずらすんでしょ。ったく、学校で何を習ってきたのよ」 「す、すいません」

その春、大学を卒業したての僕は、老人ホームすこやか園(仮)で働き始めたぱかりの新米介護員だった。

何もできない僕を怒る先輩だが、 学生時代はバイトに明け暮れ、実習なんぞしたことがないのだから、 しょうがない。 介護の道に進むなんて夢にも思っていなかった。

残業、休日出勤ゼロで初任給18万は、不況 の世では御の宅次の転職までの腰掛けぐらいの軽い気持ちで出勤し てみればなんでいきなりババアのオムツを替えなきゃならんのだ?

「ほら、ボッーとしない。このお ばあちゃんは股関節が開かないか ら・・痛いっー」 見れば、腰のギャザーをはめよ 、つとする先輩のポニーテールを、 老婆が引っ張っている。

「あーヒィ、ウィ」

ここには約70名の老人が入所し ているが、その8割が彼女のようなボケ老人だ。

「ちょっ、赤川くん、やめさせて ちょうだい」

「は、はい」

小さな体をバタつかせて暴れる老婆の肩をベッドに迎えつける。

と、 先輩がいきなり平手で老婆の額 を打つ。えっーそんなことしち ゃっていいんすか?

「どうして引っ張るの?今日は 機嫌悪いわねえー。あんまり手を焼かせないでちょうだいよ」

「はあ・・ふい・・」

借りてきた猫のようにおとなしくなった老婆を見下ろし、使用済オムツを丸めてゴミ袋に突っ込む先輩。 みるみる真赤に染まっていく老婆の左頬を、僕は黙って見つめていた。 
 
老人ホームとひとくちに言って も、その種類は様々に分かれる。

60才以上が低料金で入れる軽費 老人ホーム、

皆で集団自炊生活を するグループホーム、

介護サービ ス付きの専用住居があてがわれる 有料老人ホーム。

そして一般にイメージされるのが、65才以上対象 の養護老人ホームで、これに寝たきりという条件がつくと特別の 2文字が冠される。

すこやか園は、その特別養護老人ホームだった。

X県の農村部に位置し美しい自 然に囲まれたこのホームは、大手病院が高齢化した寝たきり患者の受け皿用に造った付属施設のため、内部は病院のような雰囲気だ。

ただし医者はおらず僕ら15名 の介護スタッフが、早番、遅番、 夜勤の3シフトで世話をする。仕 事の大半は、ベッドでのオムツ替 えと食事の補助だ。

「はい、オムツ賛えますよ」

「イヤじゃ、やめろー」

ボケ老人は意味もなくダダをこ ね、赤ん坊のように大声で泣き、 小便を垂らすわ、汚え・・

「ひゃ、ひゃい、うひゃ」

毎日こんな調子ではタマったもんじゃない

初出勤から1週間、僕は辞職を決意する。

オムツ替 えのために大学を出たんじゃねーよ。 と、ふいにある衝動が浮かんだ。 どうせ辞めるなら先輩みたいにガ ツンとやってみたいな。こんなボケ 老人、どうせ文句も言えないだろ。

翌日のオムツ賛え、僕はおもむろにジイさんの口を塞いだ。か細い息が、手の平にあたる。 

「んんっー、んー」

この、ションべたれーこっちの身にもなりやがれ!

バシッバシッ 真赤に染まる両頬、ジワッと涙ぐむつぶらな瞳

けっ、いい歳こいて泣いてやがるよ。無抵抗にされるがままの小便ジイさん。爽快だった。

結局このストレス解消法を見つ けたことで、僕はズルズルとホー ムに残ることになる。なにせ8割がボケ老人なのだ、ターゲットに 困ることはない。

全員が加担してるから公にならない

老人たちへの暴力行為が一部の者のみの楽しみでないことは、すぐに わかった。

ほとんどの職員だ

表向 きは優しく介護しながらも、影では ストレス解消の道具にしていたのだ。

前日までは何ともなかったバア さんの首の裏に、突然大きなミミズ腫れができたりするのは日常茶飯事。深夜巡回中、懐中電燈の灯りの中、鬼のよつな形相でジイさ んの頭髪をプンブン振り回す女性 スタッフの姿を見たこともある。 
スタッフの間では日常的に交わされた。

「人間じゃないの。 犬や猫と同じように、お仕置きしなきゃ」

夢を持ってこの仕事に就いた者もいたはずだが、毎日毎日、ただ わめき散らすだけの老人を相手にすれば、考えも変わらざるをえないのだ

あくまで暴力対象はボケ老人のみで、意識のしっかりした者には愛想良ぐする校猪さを、皆 が持ちあわせていた。

ではなぜこのよっな所業が公に ならないのか。それは、相手がボ ケているからというのもあるが、 何よりスタッ7間に諸問題は闇に葬るべしなる暗黙の了解があったからに他ならない。

一度、病院から定期検診に訪れ た医者から、スタッフに報告が入 ったことがあった。 「あのオジイちゃん、アザのよう なものがたくさんあるんだけど」

ある不塞点から調査が始まり、 ホームの実態が露に…。そんな展 開になどなるわけがない。医者の 報告なんて、皆、右から左へ聞き 流すだけだ。

オムツ替え、深夜巡回。 その後も僕は、あらゆるスキを見 つけては、言っことを聞かぬボケ 老人たちを殴打し、ベルトで叩き、 ロや鼻を押さえつけた。 (人間じゃない、犬なんだ。だか らシツケてやるんだ)

が、この鉄拳制裁もついに度を越してしまつときがくる。

僕の担当に、重度の寝たきりバ アさんが1人いた。

当然食事もベッドですますのだが、これがウザイ。

なかなか口を開かずようやく食べたかと思えばペッ

すべて胃に収めるまでに1時間もかかってしまつのだからイライラは募る。

見かねた先輩が言った。

「ごつくんで流し込んじゃえば?」

プラス チック容器にノズルが付いた介助食器のことで、チューブで流動食を流しこめるようになっている。 本来は、モノを飲み込む力のなく なった老人に煉っものだが、この際やむを得ないだろう
さっそく試ずと、これがラクだ。本人は苦しそうだが知ったこっちゃない。マトモに食えないアンタが悪いんだょ

ところが強引に流し込み続けたのがマズかった。

鼻そつまみ、チュープを強引に突っ込んでポンプを一気に押す。

「こうやって早く食えばいいんだよー ごっ、もがっ」

グッタリした老婆をおいて僕は その場を立ち去った。

同室の老人に面会に来た家族が、 事務所に駆け込んできたのは、ほ んの数分後だった。

「横のオバアちゃん、吐い てますけどー」

慌てて駆けつけると、バアさん はゲロまみれのベッドで激しく悶絶している。

「やっっー・げほっ、ゲハッ・・」

「急いで看護婦さんを」

陸に打ち上げられた魚のようにピチピチ身悶える

まもなく息を引きとった。

担当者の僕を責めるスタッフは 1人もいなかった。飲み込むカをなくした老婆が喉をつまらせて死ぬなんてよくあることなのだから。 


事故に見せかけて母を殺してくれないか  
3年の月日が流れ相談役というポストについた。

仕事をこなしつつ、老人の家族らから悩みを聞く仕事だ。とはいえホームを定期的に訪れる家族などわずかで、入所してから誰も面会に来ない憐れなボケ老人も珍しくない。よって、相談など月に1回あるかないかだ。

「本人は家に戻りたがってるんですけど、ウチの者が反対してまして・・このオジイちゃんも元気だったんですけど・・」

ほとんどの家族が、愚痴のようなものをただ語るだけで終わる中、 ある老婆の娘から受けた相談は強烈だった。十朱幸代似の彼女は僕を市内の喫茶店に呼び涙ながらに告げた。

「母を見てると辛くて」

老婆は痴呆が進行して植物人間のようになっていたのである。 

「それで今日は折り入ってお願い が・・」

「できることなら何でもおっ しゃってください」

「母を…母を事故に見せかけて殺 してもらえませんか」

もちろん断ったが、気持ちは痛 いほどわかる。常に眠つた状態の 老人をこのまま生き永らえさせることに、どれほどの意味があるのか。 殺入依頼はさすがにこの1件で も、疑わしき家族は他にもいた。

ある1人のジイさんが、経済的 な問題でホームから自宅に戻って ほどなく死んでしまったことがあ った。道でフラフラしているところを車にはねられたのだ。

かねてから家族とも顔馴染みだったので、線香の1本でもあげようと 自宅を訪れた僕は加害者が謝罪してるところに遭遇した

「申し訳ありませんでした…取り返しのつかないことを・・・」

「もともとはオジイちゃんが悪いんで、私たちも困ってたし感謝してるぐらいですよ」 「は、はあ・・」

「そちらもお仕事中だったんでし ょ。災難ですよねえ。もっお互い忘れましょ」

晴れ晴れとした家族の顔を見て 僕は思った。もしや彼らはわざとジイさんを?