本当にあったリアルな怖い話・恐怖の事件 ~現代の怪談~

なんだかんだで生きている人間が一番怖い・現代の怪談ともいえる本当にあった怖い話や恐怖の未解決事件です。

総会屋がなくならない理由

なぜ総会屋がなくならないのか。

よく聞かれる質間だが、答は簡単。企業にとって我々は、必要悪だからである。

日本の企業は、株主総会の運営が混乱して長時間に及ぶことを恐れる。トラブれば会社 の信頼は失墜、議長役の社長や役員の資質を間われ、ひいては解任動議が提出されるのではないかと危慎するのだ。

そこで経済成最瑚企業は総会 に会社のサクラを仕 込むことを考え出した。

予め打ちあわせ済みの質間をして場を盛り上げ、さらに会社側の財務報告に対し「異議なし」「議長に一任します」などと挙げ議事を円滑に終わらせる―

これが元々の総会屋だ。

金の匂いがすれば嘆覚の鋭い連中が集まるのは自然の理。暴力団をバックにつけた新興勢力が少数株を手に入れては総会に顔を 出し、企業が嫌がる質間をして金 を引っ張るようになる。

そのころのことを、総務担当だった人間は「2千人の総会屋が入れ代わり立ち代わり金を受け取りにきた」としている。

春と秋の総会シーズンに なると、丸の内のオフィス街をチ ンピラどもが着慣れないスーツ姿 でうろちょろするのが風物詩だったと

つまり、保身を考える企業は総会屋対策費用を予算に計上し、会社を守る

総会屋にも金を握らせ懐柔する方法を選択したのである。

なにも脅しに屈することはないじ ゃないかと。 しかし、企業はそうしない。い や、できない。バックの暴力団が 怖いといっのも理由のひとつだろうが、脱税や不正融資など、自分 たちが公表できない悪事を隠しているからだ。 


口ッキード問題で企業と総会屋 など闇の勢力が社会問題と して浮上すると、商法が改正される。

「株主の権利行使に関する利益供 与の禁止」(罰則は、6カ月以下 の懲役または30万円以下の罰金) が定められ、さらに株付けしないと総会に入場が不可能になった

少数 株を購入して総会に潜り込む野党総会屋を排除するのが目的だ。

が、私が某総会屋の事務所に出入りしはじめた80年代半ばには、 すでに勢いを盛り返し、総会屋稼業は第ニ次ブームを迎えていた。 直接、金をもらうのが禁止なら、 表向き商取引となる商品を作って 買い取ってもらえばいいじゃない かと発想を転換。

自分たちの会の活動を機関誌といっ形で発行し、 購読料をいただいた。 集金は、盆と暮に地味なスーツ を着込んで企業を回る。総会屋だ けでなく金を渡した企業も罪に問 われるはずなのに、購読を渋る会社などない。

半年分で6万のとこもあれば30万くれるところもあり、 50社ほど回れば小規模な事務所の 運営費用は十分捻出できたのだ。 もちろんその金で株を取得し、 総会にも押しかける。ガタイがい いのでシーズンともなれば私も駆り出され、あっちこっちの総会に 出席し、拍手したり野次を飛ばし たりしたが、ハッキリいって株主総会は、すべて出来レース。野党総会屋だろうと、決定しているのである

例えば、野党がネタをつかんだとする。一流と呼ばれる大企業は古参の与党総会屋がはりついているので、まずは総会前にAを取り仕切る与党総会屋に質間状を送りつける。 と、彼らが企業と一緒にそのネタを判断して返答を出す。相手にする必要なしと思えば足代だけ出しましょ、黙らせる必要ありとなれば「いくらで取り下げてくれる」と、交渉を持ちかけてくるのである。

ここで野党が取る道は2つ。で きるだけ値段をつり上げて金をもらうか、申し出を突っばね総会で発言するかだ。 が、よほどのネタでない限り話し合いで丸く収め、総会が滞りなく短時間で終わるよう努めるのが暗黙のルール。

与党と野党の総会屋同士の関係 はそう単純なものではなく、あう んの呼吸で動いている。もし企業 側が総会対策費をケチれば結託し て総会を混乱させて金を引っ張る し、目がうるさい時期に30 分もかからない、シャンシャン総会で終わっては逆に怪しまれる と、適当な質間をして時間を長引かせる手伝いをすることもある。

じゃ、あんたはここにいてこのネタを質問して総会屋がシナリオ通りの質間をして、答を読み上げる社長。株主総会は大人天云なのだ。 

まさか総会屋を志している読者はいないだろうが、この道に入る には誰かの弟子になるしか方法は ない。といっても総会屋は一匹狼がほとんどで、××企画、00経済研究所などと名付けられた事務所にいるのは弟子ばかり。運転手 などの雑用をこなしながらノウハウを党え、独り立ちしていくのが パターンである。

それとなく有力者に近ついて威光を借りながら独自のルートで 企業に食い込んでいった。

すべてどんなネタが 取れるかにかかっている。 94年には、前年まで総務部長として総会屋との関係を断ち切ろうとした専務が刺殺される事件もあったが、いまどき暴力団や右翼がバックについているだけで金を出すほど企業も甘く ない。

法律が整備され、企業のトップが世代父代したことによってか表現された闇の世界と のつながりも希薄になりつつある からだ。 それでも企業に金を出させるに は、公表すれば刑事事件に問われ 兼ねない大ネタをつかむしかない のだ。 私たちはよく企業を回る。

情報誌の購読料や活動賛 助金の回収も含まれるのだが、会 社回りの本当の目的は情報収集に ある。 どこも総会屋の窓口は総務部が 担当しているので、ヒマさえあれ ば顔を出し、ときには接待もする。 
 ちょっとした世間話の最中に、ポ 口っと冨ういえばこんな話があ りまして」と情報が出てくるのだ。 企業を守るべき総務担当者から 情報が流出するなど信じられない だろうが、現実にはそのケースが ほとんど。ただ、情報提供には見返りが求められるわけで、力のない総会屋を相手にする総務はいない。 
与党と交渉して金を引っ張るのが仕事だが、株主総会で活躍しないことには売 れない。 総会開催前に与党総会屋に質間状を送り、金額父渉を行っと前述したが、ここぞとい、うときには与党の誘いを突っばね、総会で直接発言をする。

が、これがなかなか難しい。だいたい壇上中央に議長役の社長が いて、その周りに偉見会場の前の方は株主が座り、その後ろに与党総会屋や一般株主が陣取り、 野党総会屋の席はそのまた後ろだ。 野次も飛んでくるし話を逸らせようとする与党もいるしで、それなりに場を仕切る力がないとまともにしゃべれな い。当然、しかるべきでないと恥をかくだけ。 しかし、ー度でも正々堂々と理 論展開して企業側をうならせれば、 あっといっ間に評判が立つ。各企業がビデオなどに撮り誰がどんな目をしたかチ エックしているからだ。 その結果によっては企業から、 「うちの与党になってくれ」と要請が入ったり、逆に取り返しのつ かない傷にもなる。 ただ、総会屋とはいうものの、 ネタがよければ賛とまったく関係なく、直接、トップに持っていって金をいただくこともある。

これは私がまだ独り立ちせず師と仰ぐ会長の事務所に世話になっ ていたときに、総会屋の何たるか を実感した出来事だ。 詳細は話せないが、ある上場企業の会長の孫が覚醒剤で捕まったといっウワサが裏の人間から耳に入ってきた。 たいしたネタでもないと思いなが ら会長が総務部長に裏を取 ると、「そんなことより耳寄りな 、ネタがあるんですと、向こうかりリゾート計画に関する情報を 提供してきた。

代々同族企業だった ので、外様の総務部長は出世を見限り金がほしくなったのだろう。 社長が奥さんの親戚にダミー会社 を作らせ環境破壊が社会にな っている南の地でリゾート開発を 行っていると、告発してきたのだ。

メーカーが、一方で裏金を使って政治家を動かし珊瑚礁を破壊していたとなれば企業イメージは地に落ちる。会長は入手した コピーをメーカーの社長につけると、当の総務部長に面会の段取りを付けさせた。

その当日、会長のお供をして私も一緒にオフィス街にそびえる本社最上階の社長室に出向くと、敏腕実業家として雑誌などでも活躍する社長自らドアを開けて我々を招き入れる。そして革張りのソフアに腰を落ち着けた
小切手をー枚、右手で取ると、そのままスーツの内へ。

会長も向こうの社長もい っさいネタに触れずタイミングよく秘書が持ってきたお茶を飲みながらゴルフ話に興じていた。

そのとき総務部長にいくら渡っ たのか聞いてはいないが、私と相棒は100万ずついただいた。 こんな稼ぎができるようになれば、総会屋も一人前だ。

暴れたのは、某都市銀行の不正融資がネタだった。数字は言えないが、例えばー億の価値もない土地を担保 に、ある有名企業に10億の融資を 行っただけでなく、自社関連のノ ンバンクを迂回させる手口を取っていた。 バブルの後金融会社の不正融 資が相次いで明るみになっていた 時期で、何か不タはないかと財務 表で金の流れを洗い、自力で探し た、ネタである。

株主としての正義感 です。個人株主をないがしろにす るおたくの経営姿勢は問題があり ますので、私はそれを徹底的に追 及します

総務担当者に通された部屋でタ テマエの正論をぶちかます。 交渉の様子を墾In・録画されて いるのは承知の上だ、間違っても 金の要求はしない。あくまで株主 としての権利を押し通す。 結果、根負けした銀行の提案で、 私が買ったー万ぐらいの絵を3千 万で引き取ってもらうことで話が ついた。