本当にあったリアルな怖い話・恐怖の事件 ~現代の怪談~

なんだかんだで生きている人間が一番怖い・現代の怪談ともいえる本当にあった怖い話や恐怖の未解決事件です。

政治家の選挙にまつわるお金の話が一番怖い

かつて善人の条件なる映画では、有権者に金をバラまいて候補者の当選を請け負う選挙屋の実態が描かれていた。

が、金脈政治にメスが入り、公職選挙法が改正された現在はもっと巧妙な方法を使うらしい。
「世間がうるそうなって金がバラまけん。じゃあどうするかって考えたのがこの仕邪の始まり。金で票を買うより、対立候補の後援会から選挙違反者を出して落とせばいいんじゃないかつて思いついたわけだよ」

穏やかな物腰の、静かな氏から語られたのは、日本を動かす政治家たちの間の世界だった。1年にどのくらいの選挙があるか知ってる?

国は別格にしても、県議員、市長選だ町長選だなんだって毎年、
百近くあるんだ。ひとことで言えば、そこに出張して落選しそうな官を押し込んでやるのがわたしの仕事よ


いやいや、立候補する人間から頼まれるんじゃない。政党の上の方から来るんだ。
例えばAという国会議員がいたとする。

当然、Aの選挙区には知事←県←町(または村議会)って行政のタテ社会が存在しとるわけだから、Aが所属する政党にしてみりや全員が言うことを聞く人間で占められてい
ればいうことはない。

一般の人は、議員になりたい志を持った人間が自ら立候補しとる思うとるでしよ。もちろん中にはそんなヤシもいるけど、政党政治ってのは数の力がモノ言う世界だから、そんな単純じゃない。

どの政党も、県議会議員、市議
会議員の1人1人にいたるまで、
それぞれがどの政党に所属してる
か、あるいは、そいつは誰の影響
を受けてるかぐらいは把握してる。
その上で、この選挙ではこいつを
プッシュしようとか、知名度があ
って言いなりになりそうな人間を
スカウトして立候補させようとか画策してるわけだ。


立候補する方だって、どうせ出るなら一匹狼で闘うより政党の名
前を借りた方が有利だとわかってる。実際、みんな選挙の前には
「先生、是非とも推薦お願いします」

なんて、いくらか包んで党の幹部に挨拶に行くからね。


総選挙で森田健作が自民党の推薦をもらえないとかで大
騒ぎしてたの覚えてるだろ。なんで推薦が大切かっていうと、
推薦候補となれば全党挙げてバッ
クアップしてもらえるんだ。単に
応援演説に大物政治家が来てくれ
るだけじゃなく、本当に当選させ
たいと思ったら陰でわたしのよう
な人間を動かしてでもねじ込んでくれるからね。


そういう場合は、すぐに秘書あたりからうちに打診がくるよ。立候補者が当確圏内にいるのか、入ってないとしても何番目なのか教えてくれってな。
そこで何もしなくても受かるっちゅうなら通常の応援演説をやるぐらいでいいけどまず金の手当だ
秘書が候補者に、あんたの実力じゃ真っ当なことをしてたらいくら推薦しても通らん。裏で工作するからナンボ寄こせって話を付けるわけさ。わたしのとこに改めて依頼が来るのはその後だよ。
報酬は相手次第だな。そいつがいくら出せるかによって決まるけど、相場は3千万、市会で2千万ぐらいか。
話を持ってきた先生が1本持っ
てって、残りがわたしらの取り分。
後でいかに安く上げるかはこっちの器量にかかってる。
ただし、どんなに悪くても2,3人繰り上げるのがせいぜいだよ。
それより下じゃ立候補を諦めさせ
た方がお互いのため。どうしても
やってほしいっていうならやるけ
ど、ごっつい金と時間が必要だし、
そもそもそんなに実力のねえヤシ
を底上げしても使えんからな◎

借金を肩代わりして工作員を後援会に送り込む依頼を受けたら最初にやるのは、工作員の調達だな。選挙区のヤミ金業者に連絡取って、借金でぐるぐるになっとるヤシを探す。
うちはハッキリ言ってフロント企業と言うか、元々暴力団組織にいた人間ばかりだから、そういうつながりは全国に持ってる。
サラ金、街金、果ては暴力団がやってるヤミ金なんかに手を出してどうにもならなくなってるヤシを見つけて「言うことを聞けば借金をチャラにしてやる」って声をかける。夜逃げするか首くくるしかない人間だから断るヤシなんていないよ。


何をするかっていうと、例えば
頼まれたのが洞番目の人間なら、
そいっ番目の候補者の後援会に潜らせるんだ。あんなの、
入りたいって事務所に行けば誰でも入れるからさ。
選挙対策って言うと、いまでも
金をバラまいてるイメージがある
だる・選挙違反で捕まってるのが
買収だ贈賄だって連中ばかりだか
ら、世間はみなそう信じてる。

けど、違うのよ・人を集めて金
渡したところで、本当に投票する
かどうかはわからんだる・例え柏
万ずつ握らして、後で確認の電話
をしたとこで本当のことなんか言
うわけない。「はいはい入れました」って言われりやそれでしまいだからね。
結果も不確実だし、誰かに買収まがいの活動をしてるなんてチク
られたら、例え当選できたとして
も『連座制』で候補者自身が逮捕されかねん。


わたしはそんな死に金は使わん
よ。そんだけ選挙法が厳しゅうな
ったんなら、それを逆手にとって
対抗する候補者を落とすのに金を使った方がリスクがない。
工作員にはそこんとこをちゃん
と説明してやる。公職選挙法違反
なんて言うとエライ大コトみたい
に聞こえるけど大した罪じゃない
ってな。簡易裁判所で略式起訴さ
れて何十万か罰金払えばすぐ釈放
だ。何年か公民権停止ってのがつ
くけど、せいぜい1回選挙で投票
できないぐらいのもん。それで何
百万かの借金がなくなるんだ、悪い話じゃないだろ。
金の入った握り飯を配り
買収容疑でバクられる
選挙運動が始まったら本格的に
活動開始だ。いかにも熱心な支援
者のプリしてビラ貼りやら応援演
説やらを手伝って、そこそこ信用
つけたとこで有権者を集めて宴席
を設けさすんだ。口実はなんでも
いい、先生のことでご相談があり
ましてとかなんとか言やあ、人は集まる。

そりゃ全国股にかけての商売だから、そのうちの何割かは関係あ
るだろな。やり方も状況によってそれこそ千差万別、いろいろ変えてるしね。

いや、中傷ビラだの怪文書だのは何にもならんよ。逆に反感買う
だけの話。あんなことはせん方がいい。ま、素人の手口だな。もっと確実にやらんと。
例えば、クリーンなイメージで
売ってる候補者の場合なんかだと、
ボランティアで選挙カーに乗って
る人たちがおるでしよ。

清き1票をお願いしますなんてさ。
そういう連中が夕方、事務所に帰ってきて、順番に車から降りてくるところに「こ苦労さん」って、いかにも金が入ってそうな封筒を手渡したらどうだ。
金が入ってなくても、端で見とる一般有権者は「ひょっとして金を配っとるんじゃないか」って疑念持つでしよ。ま、本当に金を入れてもいいんだしな。
他には古典的だけど、地域で票
をまとめとる老人連中を温泉にで
も連れてって「先生をよろしくお
願いします」ってメシ食わせるのもひとつの手だな。
田舎にいくとやっぱり力を持ってるのはジイサン方よ。地域で長年、みんなの主治医を務めた医者とか地元の工場の社長とか、そういう連中が商工会とか老人会の会長として影響力を持ってる。だからそういうキーマンたちを接待しまくるわけ。
コレ、昔はそのまんま立候補者をさせるためにやったことなのに、いまじゃ対抗者を落とすためやってるんだから面白いよな。
けど、こっちは「こんな振る舞いはけしからん」って、選管に訴え出てもらうのを狙ってんのに、ことによっちゃいまだ接待されるのをなんとも思ってないやつばっかりいたりするからよわりもんだ。
「わかった、オレたちに任せろ」
なんてヤシらがさ
それじゃ困るから、どっもこんなことがあったらしいってウワサ流してから選管に宴会の写真と手紙を送ったりする。後媛会がもみ消そうと動いても、工作員に「やりました」って言わせるから事件になるわな。