本当にあったリアルな怖い話・恐怖の事件 ~現代の怪談~

なんだかんだで生きている人間が一番怖い・現代の怪談ともいえる本当にあった怖い話や恐怖の未解決事件です。

公安警察に目をつけられたら逃げられない

公安警察、俗にいう、公安から現在、私は執勘なマークを受けている。

仕事場前の路上にはマンションを一点凝視する男女が2名。

カップルを装ったこの男女こそ、おそらく私の行動を監視する、公安の私服察官なのだ。

もちろん、私は過激派やテ口集団の一員でもないし、ましてや殺人部隊を持った宗教の信者でもない。ジャーナリストを自称するフリー記者である

10名ほどの専属記者やカメラマンとともに、事件・芸能、風俗などの取材を行っている、事件取材に関しては、週刊誌や新聞社の依頼のもとに取材を敢行しているが、私自身はたとえ相手が国家権力であろうとも追及の手を緩めることはない。

だが、それが今回は裏目に出たというべきか、図らずも私は公安からストーキングを受けるハメになってしまったのだ。 

情報を提供してもらっているネタ元の1人から県警の現役幹部による不祥事話を耳にしたのがはじまりである。

〈県警某署の署長A氏が、部下の女性と不倫関係にある。またそれが原因で、夫であり警察官でもあるH氏が自殺した〉

衝撃的な内容だが、相手は県警幹部。取材は慎重に進めなければ ならない

いきなりの直球勝負は危険だ。

で、まず「別件の取材のついでに」という形で聞き 込みを開始した。

結果、そのうちの数人から、 「その事実は確かにある」、「自殺したH氏の身内が告白したがっているという話を聞いた」と入手。中には、先を読んで少々気になることをロにする者もいた。

「県警を背負って立つとされる大物で、ノンキャリ組のエースとの評判もあるが、反面噂も多い。どんな手を使って取材を妨害してくるかわからないぞ」 その後、A氏の周辺に探りを入れると、やはり臭い匂いが立ち こめている。本格的な取材に入る 価値があると判断した私は、現場を踏むことにした。

兆候が現れたのは、ちょうどこのころだ。

道路に入ってしばらく走ったあだりだと思う

「付けられてませんか?」

突然、運転をしていた同僚記者が疑間符付きでつぶやいた。4台ほど後ろを走っているセダンがそれだと

聞けば、付かず 離れずで追ってきているらしい。

我々の事務所では、普段から尾行には気をつけるよう申し合わせでいる。

考えてもバカバカしい話だが、逮捕の殺人犯から独占告白をとった際、あまり に長い期間を殺人犯と過ごしたため"共犯者"と間違われ、警察の 尾行を受けたことがあったのだ。

それ以来、事務所の所属記者たちはかなり御感になっていた。

「スピードあげてみようか」

走行車線から追い越し車線に出 て、一気に加速する。

と同時に、 セダンも追い越し車線へ。抜かしたところで走行車線に戻ると、セダンもトラックと乗用車 2台を間に挟んだ後方で走行車線 に入る。

もはや、付けられているのは間違いない。 「やばい、やばい、やばい」 早口で言いながら、私は同僚に次の小さなサービスエリアに入ることを指した。

尾行されるのは お互い慣れっこだが、こと取材が県警不祥事であるた め、頭には様々な想像が膨らむ。 それに拍車をかけるような言を同僚記者が口走った。

「セダンが一緒にサービス エリアに入ったらどうします」

「駐車するように見せかけといて、 セダンの後ろに付けるしかないだ ろうな」

サービスエリアで、祈るような表情でウインカーを出す同僚。

バックミラーに目をやると、彼の目に驚きと嫌悪の表情が浮かんだ。 改めて聞くまでもなく、セダンも 我々にあわせてウインカーを出していたのだ。

「じゃあ、ついでにナンバーを確認してやるっぜ」

開き直った私だったが、結局、 セダンはサービスエリアには入らなかった。出したウインカーを引っ込めてそのまま通り過ぎたので ある。 ホッと胸を撫で下ろすと同時に、 ジワジワと湧いてくる。尾行車両の正体はいったい 何者だったのか。 

突然、3人の刑事に 路上で取り囲まれ… 
謎の尾行者。その正体は間もなく明らかになる。

4月喫茶店で記者仲間と打ち合わせを終えた直後のことだ。店を出て、歩道を歩いていると、突然、背広の 男が私に寄り添ってきた。

さらに、 前方から近づいてくる男が2人。 よく見ると、片方はどこかで会っ たことのある顔だ。目が合った瞬間向こうから声を掛けてきた。

「ひさしぶりですなあ。憶えてるか?」

すぐには思い出せなかった。

県警公安の沢田氏(仮名)。 オウム関連の取材で何度か顔を合わせた人物である。 「あ、どうも、どうも。ご無沙汰してます」

沢田氏の隣にいる深いグレーの スーツの男に目をやると、相手が 軽ぐ頭を下げる。歳の頃、まだ30 才か。おそらく沢田氏の部

下であろース と、スッと私の後ろからもっ1 人が現れ、彼も同様に挨拶をして くる。どうやら、私は前後から囲 まれていたようだ。まるで容疑者の身柄拘束である。

沢田氏に促され、狭い路地をロ の字型にぐるぐると回る。いつの 間にか、部下の2人は姿を消していた。

あなたが何の取材をしているかは興味ないが、横山(仮名) 名前が挙がっている 

だろう。

横山には触れるな

横山とは、自殺した警察官・H氏 の同僚

不祥事の内情を詳しく知っているものと思われ、今後の取材の重要人物として自宅などを割り出していた男だ。 ところが、横山氏のことはまだ我々の事務所でしか話をしていな い。となれば、考えることはーつ。

電話連絡から情報が漏れたのか

同時に、公安と先日の尾行が無関係ではないことも察しがつく。やはり、警察だったのか。 それも公安が・・


「当たりますよ。そ れは譲れない」

突っばねる私に、沢田氏はしれ っとした顔で答える。

…他にも当たりどころがあるだろ。間違いではなかった。確かに、 横山氏の他に現住所の割り出しを 進めていた人物がいた。自殺した H氏が勤務していた所轄の元副署長で、すでに退官している塚原氏である。

「アテねえ。ま、ないでもな いですよ。昨年退官されてる 方なんですけど・・」

「塚原さんか?名鉄××駅を降り て〇0交差点に向かって歩いた途中が自宅だ。住所 は×町△丁目の・・」

昔の上司 とはいえ、そんなに住所がすらすらと出てくるか。 塚原氏のことは、横山氏と同じく、編集部との電話でしか口にしていない。やはり漏れているとしか考えられない。