本当にあったリアルな怖い話・恐怖の事件 ~現代の怪談~

なんだかんだで生きている人間が一番怖い・現代の怪談ともいえる本当にあった怖い話や恐怖の未解決事件です。

東京・墨田区、曳舟徘徊老人だらけの町を歩く

『曳舟』という地域に今、徘徊老人がウヨウヨしているという。

いったいどういうことなんだ?
 
墨田区東向島にある曳舟駅に降り立った。駅前はタワーマンションが多く、再開
発が進んでいるようだ。しかし、5分も歩けば情緒のある昔ながらの街並みが現れる。たしかに高齢者も目につくが、いわゆる下町はどこもこんな感じだろう。
 向こうから野球のグローブをはめた80代と思しき男性がやってきた。健康のために運動でもするのかと目で追ってみれば、突然、自動販売機の横にあるゴミ箱をガサゴソと漁り始めた。
 老人の近くによって挙動を注意深く確認したところ、ジュースの中身が残ったペットボトルを探してはゴクゴクと飲んでいるではないか。
うわあ、これは完全にボケ老人だ。というか見ているだけで気分が悪くなってくる。
 その男性は10分ほど辺りを散歩してから、コンビニに入店して、菓子パンをいくつか購入した。

買い物するってことは、ジュースを買うぐらいの金は持っているのだろう。にも関わらず、自販機のゴミ箱を漁っていたということは、相当ボケている。
老人はたどたどしく会計を終えて、近くのアパートに帰っていった。
そのアパートは見た目もキレイで、一見、OLや大学生が一人暮らしするような雰囲気だ。間取りは1Kってところか。
おそらく独居老人なのだろう。
年金暮らしの一人暮らしを想像すると、なんだか寂しい気持ちになる。
次はどこへ行こうかとコンビニの喫煙所で一服していたら、一人の老人男性が配送の作業をする若い男性に話かけていた。
「おい、ニイちゃん、しっかり働かないとダメだぞう。がんばれよ」
配送男性は終始苦笑いを浮かべ、老人は同じ内容しか言っていない。ずっと「がんばれ」の繰り返しだ。
途中まではしっかりと返事をしていたニイちゃんも、すぐに会話を中断して仕事に没頭している。それでも、老人は声を掛け続けている。内容は常に「がんばれよ」、それだけだ。次は近くの商店街へ向かう。

歩いていて思うのだが、この町にはグループホームやデイサービスがやたら多い。こりゃ徘徊老人を目にするわけだ。
商店街に到着。半分くらいの店にシャッターが下りているが、活気は十分にある。買い物客のほとんどは高齢者で、店員も大半が高齢者だ。
買い物中の老人たちの会話に聞き耳を立てていたら、気になる女性を発見した。
惣菜屋の店員と話しているのだが、これまた話が噛み合ってない。店員がゴボウの天ぷらが揚げたてでオススメですよ、と説明しているが、その老人女性はその意味を理解できていないのだ。
「ゴボウ? あれ? ゴボウってなんでしたっけ」とこんな調子なのだ。
店員は怪訝な表情を一切せず、ボケた老人にも優しく対応している。この町では日常茶飯事なのだろう。
辺りが暗くなるにつれて、通行人の数が減ってきた。
商店街から一本外れた住宅街の暗い路地を歩いていると、うつむきながら歩く老人とすれちがった。ブツブツと独り言をしゃべっている。この老人もボケているのだろう。
夜になって人通りが減っているとはいえ、銭湯に行ったりコンビニに買い物へ出かける老人もいる。しかし、目的地に向かう歩き方と、ボケて徘徊するのとでは雰囲気が全くちがう。なんの意志もなくただ歩いているだけという感じだ。
また、昼間は親子連れで賑わっていた公園も、この時間になると人気がない。中に入って様子を伺うと老人男性がベンチでぽつねんと一人で座っている。
この寒空のなかで、なにをするでもなく夜の公園のベンチで、宙を見てボーッとしていた。