本当にあったリアルな怖い話・恐怖の事件 ~現代の怪談~

なんだかんだで生きている人間が一番怖い・現代の怪談ともいえる本当にあった怖い話や恐怖の未解決事件です。

有名な心霊スポット福島県郡山の幽霊ペンションに一泊してみた

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夏といえば心霊だ。この時期、裏モノでは過去にいくつかの心霊スポットを巡っていて、俺自身も有名スポットといわれる場所を訪れたことがある。でも実際に霊の類を見たこともなければ、何かが起きたこともない。そもそも非科学的な存在の代表である霊や怪奇現象なんて、信じられるわけがないし。
だが、唯一、その「何か」が実際に起きた心霊スポットがある。
今から8年前、当編集部の藤塚が赴いた、福島県にある廃ペンションだ(2010年7月号)。そこは霊能者の宜保愛子が恐れをなして立ち入りを拒否したという、いわくつきの心霊スポットで、そこにテントを張って一夜を過ごした藤塚とその友人は、次のような経験をしている。
♦カセットコンロとライターの火が点かない♦刺し身パックが丸ごと消えた
♦車のロックが勝手に閉まった♦ビデオカメラが作動しない
さすがに刺し身パックは猫の仕業だろうと思うのだが、他はちょっと説明がつきにくい。この夏は、この、本当に「何か」がありそうな廃ペンションに単身乗り込んで、一夜を過ごしてみたい。
﹁奥さんが狂って息子を殺したんでしょ﹂
7月上旬。テントと寝袋をリュックに詰めて、福島の郡山へ向かった。目的の廃ペンションは、そこからレンタカーで1時間ほどの場所にある。現場に行く前に地域の住民たちに尋ねてまわってみよう。何かいい情報が聞けるかもしれないし。猪苗代の定食屋のおばちゃんが、廃ペンションのことを知っていた。
「あ~、幽霊ペンションでしょ?昔テレビでやってたわね~。稲川淳二とかが来てさ、そこの地下室で自殺したオーナーの霊が出るとかって。わたし? 行かない行かない。怖いもん」
このおばちゃんのように、ペンションのオーナーが自殺したという噂話を知る人はけっこういて、隣町のコンビニの駐車場では、茶髪の若い兄ちゃん2人組が盛り上がってくれた。
「たしかさ、自殺したオーナーを見つけた奥さんが、気が狂って首吊り自殺したんじゃない?」
「え、奥さんが狂って息子を殺したんでしょ。んで、その殺された子供の霊が出るんだよ」「あーそうだっけ」ほかにも何度か殺人事件があっただとか、首吊り自殺の名所だとか、あそこは浮遊霊のたまり場だと言い切るオッサンまで。ま、田舎の人って、こういうのすぐ信じちゃうんだよな。
最近はマニアも足を踏み入れてないのかも
目的の幽霊ペンションは、JR翁島駅近くの林の中にあった。
建物はボロボロに朽ち果てた洋館といった雰囲気で、窓ガラスはもちろん、壁や屋根も大きく崩れ落ちている。さすがは年代物の心霊スポットだけあって、地元の暴走族たちによる落書きや廃棄されたゴミも散らばり、来訪者の多さを物語っている。
時刻は夕方の5時。まだ日が高く、中も比較的明るいので心霊的な怖さは感じない。
ひとまず中の様子を覗いてみよう。大量の落ち葉が積もったポーチから中に入ると、天井の高い広間に出た。中央にはレンガで囲まれた古い暖炉が。向かって左側のエリアは
天井が崩れ落ち、床に大量の瓦礫と落ち葉が堆積している。歩くのもままならない状態だ。逆の右側には、2階に上がる階段とトイレ、さらにその奥にはかつて客室だったであろう空間につながる廊下が続く。その廊下にはいくつもの蜘蛛の巣が張られ、長いあいだ来訪者がいなかったことがわかる。有名心霊スポットとはいえ、最近はマニアも足を踏み入れてないのかもしれない。廊下の突き当りに浴室があった。浴槽には赤茶色に変色した雨水が溜まっていて、ボウフラがうようよしている。いったん広間に戻り、今度は2階へと続く階段をのぼる。途中、鉄骨製の階段の一部が崩れ落ちていて、大きな穴がぽっかり開いていた。吹き抜け構造なので、2階の床は普通の建物の3階と同じぐらいの高さはある。もし落ちたら大怪我じゃ済まないかも。崩れ落ちた穴を慎重に避けつつ階段を登りきり、どうにか2階に到着した。ここもかなり崩壊が進み、客室とトイレがあったことがかろうじてわかるレベルだ。屋根のない部分には落ち葉が大量に積みかさなり、腐葉土から若木も伸びている有様だ。階段を支える鉄骨が錆びて崩れ落ちるぐらいなので、この床だって危ない。不用意に歩き回るのはやめておこう。そろりそろりと階段を降りて一階に戻った。これで幽霊ペンションの内部はほぼすべて回った。そういえば、オーナーが自殺したとかいう地下室の入り口はどこにも見つからなかったな。白いモヤモヤが写ってる
日が落ちてきたので、そろそろテントを張った方がよさそうだ。ヤブ蚊に刺されながら広間の中央に急いで設営する。現在、夜の7時を過ぎたあたり。電池式のランプを点け、テントの中に寝袋とマットを敷いて一休みする。遠くからひぐらしの声が聞こえ
てくる。ヒマだな。ここへ来る途中、隣町のスーパーで買ってきたビールと焼きそばでも食べながら時間をつぶすとしよう。やがて完全に日は暮れ、あたりは真っ暗になった。もう一度、館内を見て回るとするか。その前に、テントの前で記念撮影を。カシャ。どれどれ、写り具合を確認してみましょうか。
…あれ? 画面全体が白いモヤみたいなもので濁ってるな(冒頭の写真参照)。周囲をキョロキョロ見回しても霧は出ていない。スマホのレンズをシャツで拭いて、もう一度カシャ。別の方向も撮ってみよう。カシャ、カシャ。やっぱり白いモヤモヤが写って
る。何だろうこれ。いつもならこの程度のことぐらい気に留めないはずだが、幽霊ペンションということもあって、急に心細い気持ちになってきた。やっぱりこういうときに1人だと不安だな。少し背筋が寒くなったので、テントに入り、スマホで音楽をかけて気を紛らわせていたら、ようやく落ち着いてきた。こんなベタな心霊写真モドキみたいなものでこんな気持ちになるとは思わなかった。テントから這い出て、試しにもう一度写メを撮ってみたら、さっきのモヤモヤは消えていた。

またしてもペットボトルが倒れた
さあ、館内のパトロールをしてみよう。霊のたぐいや怪奇現象が現れるのは夜と相場が決まっているんだし。ポケットからマグライトを出して、まずは1階の客室エリアから散策だ。暗闇の中をジャリ…ジャリ…と足音を響かせながら奥へ進んでいく。すぐに突き当りの風呂場に到着し、その周辺を散策してみたが特にめぼしいものも見つからず、
トボトボとテントの元へ。
ふぅ。喉が渇いたので水でも飲むか。あれ、テント脇に置いていたペットボトルが倒れて、水がこぼれてるじゃないか。ああ…、貴重な水が。ペットボトルを元通り立て直し
てフタを締め、さて次はどこへ向かおうかと思ったその瞬間、バタッ…またしてもペットボトルが倒れた。そんなに不安定な場所に置いたか? 水のあった場所を確認したが、普通に平らな地面だ。再びペットボトルを今度は慎重に立て直し、少しの間待ってみた。よし、倒れないな。散策を再開しよう。左側の瓦礫の奥を覗いてみようかと足を向けたとき、背後で再びバタッっと音が聞こえた。そんな馬鹿な…。やっぱり倒れてる…。あのペットボトルに向けて、局所的に突風が吹いてるとか? あるいは俺の平衡感覚がおかしくなってる?また倒れたら正気じゃいられない気がするので、ペットボトルはテントの中に横向きに置いておくことにした。
水の次はランプかよ!しばらく1階をウロウロしていたら、2階の方角からコツ、コツ…コツ、コツ…と不規則な音が聞こえてくることに気づいた。崩れ落ちた屋根か外壁の一部が、風に吹かれてぶつかり合ってるのかな…?見に行くか。でもこんな暗闇で階段が崩れ落ちでもしたら危ないな。うん、やめとこう。コツ、コツコツ…
気になる。やっぱり見にいくことにした。階段を一段ずつライトで照らし、片足でトントン確認しながら、ゆっくり階段を登っていく。崩れ落ちた穴を避けて、どうにか2階に到着。音のする方向へライトを向けたが、光が届かず何も見えない。もう少し奥に進まないとダメか。えっ…? ふと階段の上から1階の方角を見たら、真っ暗闇になっていた。テント内で点けておいたランプが消えてるじゃないか。
水の次はランプかよ!自分で消した覚えはない。電池が切れたのかな…。再びマグライトを照らしながら慎重に階段を下り、テントの中へ。接触不良かもしれないので、軽く叩いてカチカチと何度か電源スイッチを押してみたが、やっぱり点かない。電池を新しいものに交換してみてもダメだった。マジか。電球が切れたのかな。まだ買ってから半年も経っていないし、めったに切れないLED電球なんだけど。でも、まだマグライトが残ってる。いざとなったらスマホもライト代わりになるだろう。ランプをあきらめ、再び2階へ行こうとしたときには、例の音は鳴り止んでしまった。夜行性の鳥でもいたのかもな。さあ、ちょっと仮眠でもとるか。
ライトが点いてるはずはないんだけど
ピピピピピ!!スマホのアラームが鳴って飛び起きた。
時刻は深夜1時55分。前もって丑三つ時の直前に鳴るようアラームをセットしておいたのだ。この時間が肝試しのクライマックスだしな。再びライト片手に館内の散策を開始する。暖炉の裏側やお風呂場エリア、そしてあらためて異音の聞こえた2階にも行ってみたが、やはり例の音の出どころは特定できなかった。
…あれ!?またしても、とんでもないことに気づいてしまった。ペンションの前に停めておいたレンタカーのヘッドライトが点いてるぞ…。
俺、消し忘れた? いや、ここへ来る途中、ライトのスイッチは操作してないはずだ。トンネルも通ってないし。まだ外が明るいうちに車を停めて、その後は一度も乗っていないから、ライトが点いてるはずはないんだけど。
車の中に誰かいたりして…。そんなバカな。考えては行けないと思いつつも、一瞬でゾワゾワと体中の毛が逆立つのがわかった。ヤバい。鳥肌がおさまらないんですけど。何か見えたり聞こえたりするのが嫌なので、両手で耳をおさえ、薄目にしていったんテントの中へ退却する。幽霊ならまだしも、誰か人が乗ってたらどうしよう。ホームレスのオッサンならありえるぞ。でも車の鍵はポケットに入ってるから、最悪、車を盗まれることはない。どうする? 早くライトを消さないとバッテリー上がっちゃうぞ。仕方ないのでのそのそとテントから這い出て、車の元に近づいていく。
ライトの光が眩しくて車内の様子は見えないが、リモコンキーを押したらガチャっと鍵が開いた。車の横に到着し、恐る恐る車内を覗く。誰も乗っていないな。よかった…。
すぐに運転席のドアを開けてライトを消し、逃げるようにテントに飛び込んで寝袋に包まった。
目が覚めたころには夜は明けており、俺はそそくさとテントをたたんで帰路に付いた。
自宅に戻り、真っ先に確認したのが突然消えたランプだ。まさかとは思ったが、スイッチを押したら煌々と光ってしまった。やはりこのペンション、「何か」が起きる…。