本当にあったリアルな怖い話・恐怖の事件 ~現代の怪談~

なんだかんだで生きている人間が一番怖い・現代の怪談ともいえる本当にあった怖い話や恐怖の未解決事件です。

京都の心霊スポットに恐怖映像を取りに行ったら友人が行方不明に

四方を山に囲まれ清濁の霊を併せ呑む魔界都市京都。
古来より時の権力者たちは役小角や空海といった霊能者を招聘し、悪しき霊から都の守護にあたらせた。

そして現在って、何をぬかしとんねん。遺伝子からクローン人間が作れる今日
心霊だのオバケだの口にするのはいかにもバカげとるやろ。オカルトなんてガキの遊びや。と、ほんの少し前までは思っていた。しかし、今のオレは違ぅ。
たまたま訪れた心霊スポッ卜で、仲間たちと味わった忌々しいあの記憶。現場に居合わせた一人が精神を取り乱し、そのまま行方不明にまでなってしまえば、震撼するより他ない。
心霊をVTRに収めれば金になるんちゃぅか

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レンタルビデオ屋でいつも貸出中の本当にあった呪いのビデオや『桜金造の心霊写真』なる心霊シリ—ズ。あれを自分で作ったら金になるんじゃなかろぅか。最初は軽い気持ちだった。
幸い、映像関係の知り合いはたくさんいる。
製作会社のカメラマンA、アトランタオリンピックでも活躍した音声のB'そして舞台演出や関西ロ—カル番組を手がけるディレクタ—のC。普段は朝まで暴飲をかますアホな野郎たちだが、仕事となれば職人魂を発揮する連中だ。
案の定話をフると「オモロそ一やんか」と3 人ともアッサリ乗ってくる。週2 回午前1 時から夜明けまでカメラを回しっぱなしの撮影計画がまとまった。
な〜に、京都は心霊スポッ卜だらけだ。粘ればいつかイイ絵が撮れるだろう。
が、そう甘くないのはこの世もあの世も同じらしい。
何度かそれらしき場所へ足を運んだものの、マトモなVTRは1つも撮れない。これでは誰からともなくあきらめようという声が上がるのも当然である。
それを食い止めたのが、デイレクタ—のCだ。
「知り合いに、霊感の強い田中いうヤツがおるんやけど。ソイツを連れてもう一回行ってみよか」
今にして思えば、この提案に同意したのがよかったのかマズかったのか。田中を同行
して取材を再開すると、コワイくらいの効果が現れるのだ。行く先々でお経らしき音が
録音され、不自然な光や正体不明の影がVTRに映り込む。ただ、頭からそれを霊と信じるのはいかがなものか。単なる偶然の可能性も否めない。
「そんならホンマにヤバイ場所へ行こうや」
調子に乗ってオレたちが出向いたのは京都市内でも強烈な心霊スポットだ。順々に申し上げよう。
北区の墓池( 朽ち果てた墓石が山積みされている)
右京区清滝トンネル( 女の霊が車のボンネットに落ちてくると噂)
嵐山電鉄の踏切( 女性の霊や老婆の霊が線路に人を呼び込むらしい)
北区八瀬の廃墟( 一家心中があった)
宇治川ライン( メル友殺人で死体遺棄された場所)
三面地蔵( 首無し人間が夜な夜なバイクで走るという)
どこも薄気味悪さはハンパじゃなく、事実、得体の知れない影やお経のような声の収録にも成功した。が、もう1つインパクトが弱い。商品化するには決定的な霊の映像
誰がどう見てもふるえ上がるようなこわ〜いオバケがほしいところだ。

突然音声が抜けたいと言い出したのは、撮影10日目のことだ。
「毎日ドコにいても、ずっと誰かに見られてるみたいで、とにかく寝れへんのや」
「そんなの気の持ちようやで。取り憑かれるって思うから余計に心配になるんや。絶対に平気ゃ」
音声のプロに抜けられたら一大事。いつもと違う暗い様子は引っかかるが、とにかく今辞められては困る。すでに7 0万からの経費がかかっているのだ。
懸命の説得に、B も「わかった」と参加続行の意志を表明。が、ほっとI息ついたのも束の間、次の撮影場所を告げるや'再び日がゴネ始めた。
「あそこだけはホンマにアカン!オマエら知らんかもしれんが、あの宜保さんも腰が引けた場所なんやで!」
「ソレ、どういうことや…」
京都市東山区にある東山卜ンネル。その隧道( 脇にある歩道用トンネル) は地元では古くから知られた心霊スポッ卜で、日は以前テレビの収録のために訪れたことがあるという。番組内容は、かの有名霊媒師.宜保愛子が京都中の霊界を訪れるというものだ。ところが他の地域ではいつもの霊媒師ぶりを発揮していた彼女がトンネルを見るなり「絶対に中には入れません」と泣き叫んだらしい…。
「…それマジけ?ホンマにヤバイんちゃうか」
「そやから言うてるやん一が軽い気持ちで行く場所やないで」
真っ青な顔で声を上げる日。
しかし、ディレクタ—の〇は1歩も引かない。
「それやったらなおのことオイシイ場所やんか。オマエらプロやったら、怖じ気づかんと、さっさと絵をおさめんかい—- 」
地図によれば、問題のトンネルの上には火葬場、さらにその上の山頂には古き将軍の塚がある。おまけにトンネル向こう側の出口を過ぎれば、そこは「阿含の火祭り」という霊的儀式が開催される場所だ。
あらゆる条件が揃っていた。
なるほどCの言うように、訪れずして放っておくにはあまりに惜しいかもしれん。
結局我々はその日の深夜1 時、東山トンネル隧道前へ出向く。
車から一歩外へ出た途端、身を包む異常なまでの寒気。
昼は桜満開で20度もあったというのに、この寒さはいったいなんやねん。
「あそこ見てください!かっ、壁から女の人の上半身が出ています」
突然霊感の強い田中が叫んだ。
「どこ? そんなもんないぞ?怖いんやから変な冗談はやめようや」
「いや、ここはマジでヤバイっすよ。もう帰りましよう」
「せっかく来たんやから、オバケはんに出てきてもらったらええやん。心霊ビデオなん
やから映ってなんぼやろ」
怖がる田中をなだめすかしながらわずかに光る街灯を頼りに5 人はトンネル内を歩き始める。
「ヒタヒタ…ヒタヒタ…」
はて?オレは最後尾を歩いてるはずなのに後ろから人が来とる。って、なんや。誰もおれへんやん。
ヒタヒタ…ヒタヒタ………。改めて振り返ってみても誰もいない。さすがに足が靈えてきた。

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「やっぱ'宜保せんせが言うだけあって、ここはなんかスゴすぎるわ。言葉では説明できひんけど、他のスポットとはレベルがちゃう。はよ引き上げようゃ」
「いやいや。イイ絵を撮るの
はこれからや一. 」
「もう帰ろうゃ」
相も変わらず強硬論を主張するCと戦いながら、後ろを振り返って驚いた。音声のBが泣いているのだ。
「やっぱり見られてるんです。…ずっと見られてるんです。僕に入っちゃいけないって言ってるんです、さっきからずっと」
少し間を置き、今度は田中がオレの耳元で囁く。
「日さんに、髪の長い女の人が憑いてます」
「へっ!?憑いてるってオマエ、うそやろ!ホンマやったら追い祓ってやらんとアカンやないか」
「僕は見えるだけで何もできないんですよ!どうするんですか」
「どうするも何も…」
とりあえず内緒にしとくしかないやんけ一
まだまだ先に進むというディレクタCを今度ばかりは強行に説き伏せ'我々はトンネルを後にした。
10年以上マジメに働いてきたアィツが自宅に帰ったオレは、あずかったVTRをさっそくプレビュ—してみた。
すると、げげげ!いきなり地面にキモチ悪い目が映っとるやないか!
撮影時足元に光はほとんど届いていない。道路の模様が映ること自体が不自然だ。
それが、シミにしてはあまりにリアルなこの映像。オレは嬉しくなってスタッフに電話をかけまくった。もちろん音声のB にも。
「はろ〜。最高に怖いのが撮れてたで〜」
「もうその話はいいです。家に帰ってきてもまだ、誰かに見られてるんです…。ドコに
行つても何してもどうしようもないんです」
「おいおい、まだそんなこと言うとるんかいな。もう関係ないやろ。ま、明日、気晴ら
しに酒でも飲みに行こうや」
「う、うん」
しかし翌日、約束の時刻に日は現れなかった。遊びも仕事も時間はキッチリ守る男。それが電話の一本すら寄こさないとは異常事態である…。
不安は、ヤツの職場に連絡したことでI気に爆発した。
10年以上もマジメに働いてき
たアイツがいきなりバックれ、撮影現場は大変なことになってるらしい。これはいよよ
おかしいで。
四方八方Bが訪れそうなところを隈なくあたってみるもすべてなしのつぶて。逆に行き先を問われる始末である。
★ホンマに取り憑かれたんやろか。それとも春の陽気で頭がおかしくなったのか。理由は定かじゃない。ただ、次はオレの番かもしれないと思った瞬間、背中に感ずる誰かの視線。気のせいであってほしい。