本当にあったリアルな怖い話・恐怖の事件 ~現代の怪談~

なんだかんだで生きている人間が一番怖い・現代の怪談ともいえる本当にあった怖い話や恐怖の未解決事件です。

ヤクザだらけの銭湯にビビりながら入浴する

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某県にヤクザだらけの銭湯があると聞き、行ってみることにした。なんでも、銭湯の近くに某組本部があり、夕方になると若い衆がぞろぞろと汗を流しにくるそうだ。
ああいう人たちって意外と優しかったりするし仲良くなってくるか。

銭湯に着いたのが夕方5時ちょうど。ガラガラつとドアを開けると、いきなり人影が見えた。
「湯船ヌルいから温度あげて〜」
番台に向かって叫んだ男は、オレをキッと晩み、すぐに奥へと戻っていった。背中を大きな鯉と花模様が隙間なく覆っている。いきなりいらっしゃいました…。
おそるおそる脱衣所に進むと、目の前には4人の男がいた。皆さん知り合いなのか、タバコを吸いながら談笑中だ。そして、その誰もが、背中、腕、足の彫り物をこれでもかとぱかりにさらしている。一人の肩には般若の顔まで。もう帰ろうかしら。おずおずと服を脱ぎ、縮めるようにして風呂へ。入れ墨さんたちが3人ほどいた。

いつもならいきなり湯船に直行するところだが、今日ばかりは体をまず洗うとしょぅ。
斜め後ろのお兄Iさんに泡を飛ばさIぬようソロリとシャワーを浴びた後|は、ヤクザさんの浸かってらっしゃる湯船を通り過ぎてサウナへと向かう。
中は無人だ。ひとまず心を落ち着かせよう、と思った矢先、さきほど脱衣所にいた4人のヤクザがにぎやかに入ってきてしまった。
つぶやく。
「最近暑いなぁ」他の3 人のうなずき方からして、兄貴なんだな。そそうのないようにしないと。
「盆地だからだな。アッチは涼しかったぞ」

「そうなんですか。やっぱり東北だからですかね」
「懲役ってのも行ってみるもんだな。ガハハ」
兄貴はこないだまで東北へお務めに行ってたみたいだ。クソ暑いサウナなのに、なんだか寒気がしてきた。
だんだん暑さに耐えられなくなってきた。さっきひっくり返した砂時計はすでに流れ終えている。そろそろ出るか。
いやしかし、外へ出るには彼らの前をらねばならない。汗がかかりでもしたらどうなることやら。兄貴が邀咼した挙げ句、またお務めに舞い戻ることになるかも。ここは我慢だ。
…しかしそれもまた問題な気がする。彼らはオトコを売るOK、先にいたオレょりも早くギブアップはできないだろう。下手に長居すれば恨みを買う可能性がある。
出るか出まいか。
20分が過ぎたころ、ようやく彼らはサウナを出た。ゆでだこのオレも間をおいて飛びだす。水風呂は先のサウナ組でいっぱいだったが、ここは入れていただきたい。水しぶきがかからないょぅ、ゆっくりと中へ。ふぁ〜、気持ちいい!
「おい、なんかヌルィな」
兄貴が一言つぶやいた。瞬間、若い衆が全員そろって外に出る。何が始まるんだ。オメーらの体温で水温を上げるなって意味だったのか?オレも出なきやいけないの?
思い過ごしだったょぅだ。兄貴の一言はそんな軽いものではない。なんと若い衆はバケッリレーでサッカ-ボールほどの氷の塊を運んできた
のだ。
ドボン。
ドボン。
ドボン。
でかい氷が5 個ほど水風呂に浮かび、ようやく兄貴は満足気にストップをかけた。
兄貴、冷やしすきですってば。オレ、さぶいぼ出てきたんですけど。