本当にあったリアルな怖い話・恐怖の事件 ~現代の怪談~

なんだかんだで生きている人間が一番怖い・現代の怪談ともいえる本当にあった怖い話や恐怖の未解決事件です。

神社でワラ人形の願掛けを目撃して殺されかけた話

いきなりの質問だが、みなさんは人に殺されかけた経験をお持ちだろうか。
誌上ではお馴染みの、刺した刺された撃った撃たれたなんて出来事は、あくまでソノ筋の人たちの話。自分には関係ない世界とお思いなのでは?
俺も昨年の秋まではそうだった。平々凡々と毎日を送っていれば交通事故はともかく、殺人に遭う心配はさすがにないはずだと。ところが人の世とはそう単純でもなかったのだ…。
昨秋、旅行中の俺は滋賀県の近江八幡という町に立ち寄った。ここは昔ながらの町並みがウリの田舎町で、網の目のように張り巡らされた水路を、船頭さんつきの小舟でゆっくり巡るのが唯一の観光スポットになっている。

「これは遅い乗り物なんですよ-」
「歩くより遅いですからね-」
昼間を水路巡りに費やし、夜、夕飯を食べたあと宿を抜け出した。
もちろんこんな田舎に楽しい場所などあるはずがない。
ふらふらと辺りから、最終的には小さな神社にたどり着いた。夜の神社なんて物騒な場所に来るとは。
と1人つぶやく俺の耳に、どこからか妙な音が。
(コツン、コツン、コツン)
こんな夜中にいったい何だろ。ハイヒールの音でもないし。
不思議に思って、音の出元へこっそり行ってみる。と、そこにはまるでホラーのような光景が。なんと1人の男が凄い形相で、ワラ人形を打ちつけているのだ!
「つ!」
思わず漏らした声に男が気付き、ジロリとこちらを見る。うわ、怖え-つ。
ダダダダダッ‐・
突然、こちらに走ってくる男。な、なんだよ。に、逃げろ!思わず俺は闇夜を駆けだした。
死んだバアちゃんからこんな言い伝えを聞いたことがある。ワラ人形での願かけシーンを目撃されるとその呪いは効力を失い、自らに死が降りかかる。それを防ぐには、目撃者を殺さなければならない
てことは何だ、アイツは俺を殺そうとしてんのか?いまどきワラ人形を打つようなアナクロ人間、マジでその迷信を信じ込んでるんじゃ…。
ときどき振り返ると、八つ墓村の主人公のような顔をした男が、無言で追ってくる。
ノロマな俺の足、このままだと追いつかれる。あの木槌で頭をかち割られちまうのか・・・。
この絶体絶命の状況を救ってくれたのが、目の前に見えた水路だった。接岸された一般の小舟に飛び乗った俺は、勝手にかいを漕いでそのまま出舟したのだ
八つ墓村男も、さすがに水の中には入れないのか、伝いに追ってきたが、舟が湿地に入るころには姿が見えなくなった。乗り物が大の男を振り切ったのだ。
半刻後、俺は琵琶湖畔の水辺で舟を乗り捨て、泣きそうになりながら宿に戻ったのだった。