本当にあったリアルな怖い話・恐怖の事件 ~現代の怪談~

なんだかんだで生きている人間が一番怖い・現代の怪談ともいえる本当にあった怖い話や恐怖の未解決事件です。

遊びの代償は会社倒産と一家離散

「お久し振りです。覚えてますか。実はボクの会社が潰れちゃったんですよ。なんかいいシノギないですかね」
オレを荒稼ぎを目論んで頼ってきた。そして、こんなことできませんかねと持ちかけてきたのが、得意のフィリピンを利用したハメ込みだった。
シナリオはこうだ。高級クラブやゴルフ場などでカモにする会社の社長を物色、小西が接触してフィリピンの楽しさを吹き込み遊びに連れギャンブルにクスリ。この世の天国を体験きせて仕事への意欲をなくし、会牡を倒産に追い込んだ後は整理屋よろしく金をバクる。
オレも人を煙に巻く手腕にはいささか自信があるが、相手の懐にスッと入り込む小西のなんとも人なつこいトークは天才的。最初にホステスを抱き込んで客の情報を流してもらい、遊ぶのが好きな羽振りのいい客を見つけたら店に乗り込む。もちろん、そいつの趣味や遊びのパターンをチェック。「よくお顔お見かけしますね」でも「いい車に乗ってますね」でもいい。
よいしょしまくって一緒に遊びに出かけ、コトあるたびにフィリピンは面しろいと吹き込んでいくのだ。
「ゴーゴーバーへ行けば50人もの中から好みの子を選べるし、あっちの女は手取り足取りフロで洗ってくれて、体中なめ回してくれる。しかも日本と違って心があるんですよ。一度アレを体験したら日本のビジネスライクな女とは遊べませんよ」
成功し、仮にも社長と呼ばれる男は、女が好きに決まっている。会うたびおいしいことを言われれば十中八九がその気になる。
「オレが旅費を持つから一度案内してよ」
って言い出したらこっちのものだ。小西はタガログ語もぺラペラだし、現地の知り合いも多い。さらに警察に軍隊、税関の幹部ともツテがある。
平均月収2万弱のフィリピンでは、軍人でさえ金で買収が可能だし、ましてや女を買う値段が安い国だから不可能なことなどない。
例えばターゲットがロリコンマニアなら、現地の人間でさえ知らないスラム街の置屋に連れていく。もちろん乱交だってSMだって思いのままだ。

「これを女の子の尿道に突っ込みたいんだ」とカテーテルの管を取り出したサド社長の願いも叶えられた。
しかしその金がバカみたいに安い。彼がタガログ語で値切りへ関係者へのバックマージンや自分の取り分を上乗せしても、正規のルートで観光客が払う目本人価格でおつりがくる。知り合いのブローカーに2万わたし、何人もの女で客をチャホャしてもらりのだから、カモの9割が滞在期間を延長したいと言い出すのも当然のことだろ。
そうなれば、さらなるお楽しみが待っている。刑事と組んで拳銃やマシンガンを撃たせたり興味があればマリファナや女好きには一度に5人の女をあてがうなど、初めての経験をパンパンさせるのだ。

これでハマらないヤツなどいない。日本に帰って1カ月もすれば、誰もが今度はいつフィリピンに行く?と聞いてくる。後は、ねだられるままフィリピンへ連れていき金をどんどんださせる。社長がそんな調子じゃ、会社が傾くのは時間の問題。

「社長、日本なんてもついいじゃないですか。このままフィリピンで仕事しましょ」

頃あいを見計い、小西がささやく。実はマニラでは日本食は高いのだ。国内じや600円の貧相なカッ井が4千円。天ぷらなどは目玉が飛び出るほどの値段がつきそれなりに繁盛している。そういう事情を説明じ、「日本食の店は儲かりますよ」とそそのかすのである。遊びにうつつを抜かすような社長に、冷静な判断などない。会社を畳んでフィリピンでと決心したら、オレの出番だ。すぐさま委任状や実印、小切手をあずかり、整理にとりかかる。

乗り込むオレに、家族や社員から文句はひとつも出ない。遊びほうける社長に振り回され、怒る気力さえないのだ。中には、

「バカ息子がご迷惑おかけします」

と言う親さえいる。現地では日本人が店を借りることはできないので、現地人・サムを紹介し、名義をかしてくれる人物だと社長に引きあわせる。サムは小西にヒケを取りないお調子者だ。

「社長、ボクに任してください」とあちこちで人材を世話するフリをして、なけなしの金をもらったら、そのままドロン。もちろん、パクった金はオレと小西、サムで山分けだ。