本当にあったリアルな怖い話・恐怖の事件 ~現代の怪談~

なんだかんだで生きている人間が一番怖い・現代の怪談ともいえる本当にあった怖い話や恐怖の未解決事件です。

イケメン男にホモストー力ーされる被害にあった本当の話

悲惨な目に遭ったことも少なくない。例えば、よくあるのが怖いお兄さんからの脅しだ。

「テメエふざけたことしてんじゃねえぞ。これから殴りに行ってやるからなあ」

確かに恐い。が、実際に家に来られたことはないし殴られた経験もない。たぶん、オレなんか殴ってもなんの利益にもならないからだろう。それより恐いのは未成年の女のコからの誘い、しかし、これから話す男に比べたら、その恐怖は比較にならないほど少ない。
実は、この話はオレの中で長い間、封印しできたものだ。忘れてしまいたい、というのが本音である。大げさじゃなくもそれほどオレ個人にとっては恐ろしい体験だったのだ。
雑誌などでも紹介されたので知っている人も多いと思うが、NTTに「2219」というチャンネルがある。番号は、夫婦行くのゴロ合わせ。すなわちスワップマニアのための専用ダイヤルだ。何を隠そう、オレが作ったものだ。かつてスワッピング雑誌で記事を書いていたころ、夫婦やカップルが連絡を取りあうのを目的に設置したのである。おかげさまで利用者は日を追うごとに増え、そのうちオレ自身もメッセージを入れるようになった。

ネタ拾いのためというより、家でヒマしているときなど、この番号で話し相手を探すのだ。6年前のその日もそうだった。日曜のタ方、テレビで「サザエさん」を見ながらインスタントラーメンをすすっていると、急に寂しさが襲ってきた。ひとり暮らしの男にとって日曜日の夜はなんとも孤独。こんなときは、2219ダイヤルに限る。

「都内に住んでいる独身男性のマグ口と言います。ご夫婦、カップル、単独女性の方。お話だけでもけっこうです。お気軽にお電話ください。番号はー」
もっともメッセージを入れたところで、誰も返事をくれないということも少なくない。が、この日は違った。15分もたたないつちに電話がかかってきたのだ。

「ぼく男なんですけどいいですか?」なんだ、男かよ。とは思ったものの、今日はなんとなく人恋しい。しかも、その男は語り口がソフトで腰も低そう。決して悪い印象じゃない。オレは、そのヤナギ(仮名、当時28)という男と少し話してみようとなった。

「もちろん、男性でもかまいませんよ。なにかおもしろい話があるんですか」

「おもしろいかどうかわからないんですけど、僕は彼女と3Pとかやってるんですよ」

仕事柄、3Pの話なんか聞き飽きている。確かに、オレにとってはおもしろい話じゃない。が、途中で男がミュージシャンをやっていると言って少し興味が湧いてきた。何でも、有名アーティストのバックで演奏することもあるらしい。

自分の身分を偽っている人間が多いから、最初はウソだと思って聞いていた。しかし、彼の音楽の知識やギョーカイの裏話は、実際その仕事に就いていないとできないものばかり。ヤナギは間違いなく本物のミュージシャンに思えた。もの珍しさも手伝ってオレがあれこれ質問する一方、ヤナギもフリーライターといっ職業に興味を持ったようで、話は大いに盛り上がった。時計を見るとすでに3時間が過ぎている。さすがにもうそろそろ切った方がいいだろう。

そこで、オレは「又、ぜひ会って話そうよ。」「いいですよ」

快く、自宅と携帯電話の番号を数えてくれるヤナギ。が、その後、彼は思わぬことを口にした。自分は男も女もいける、いわゆるバイセクシャルである、と。

「だから3Pは、いつも男2人に女ー人で、ぼくはその両方とからむんですよ」

「最初から男にも興味あったの」
「いやいや。オレも最初は男となんかイヤでしたよ。けど、10代で女のコとやりまくっちゃうと飽きてくるんですよ。で、20代になってから乱父するようになって、最初は冗談で男のチンボとかくわえてるうちにそっちにもハマってきちゃったんですよ」

なるほどそういうものか。もちろんオレは飽きるほどセックスしたことなんてないが、意外にモテすぎる男がホモになったりするのかもしれない。ん?待てよ。もしかしたら、オレが又会おうなんて言ったものだからヤナギはこんな話をしてきたのか。会った後、場合によっては、なんて思ってるんじゃないのか。いかんいかん、ここははっきり釘を刺しておかなければ。

「ねんのため言っとくけど、オレはホモじゃないんで、男とはしないからさ」

少しマジになって言うと、ヤナギは「ハハハ」と笑った。そして、頼んでもないのに「何なら女、紹介しましょうか」とまでいう。華やかな世界で仕事しているだけに、周りにわんさかキレイな女がいるんだろう。

「いいなあ。ホントうらやましい」と、これがー回目の電話の内容である。このとき、オレはヤナギに何の疑いも持っていない。どころか、友だちになりたいとさえ思っていたのだ。なんせ、女を紹介してくれるっていうんだから、こんないい友だちはいない。が、それはとんでもない勘違いだったのだ。
「マグ口さんの顔見ました。翌日の夜同じ時間にヤナギから電話がかかってきた。オレが昨日の重話で、雑誌の連載で顔写真を載せていると教えたところ、さっそく買って読んだらしい。

「ところで、マグ口さんは普段、どんな格好をしてるんですか」

「いつも古い着物だよ」

「下着は何を?」

「オレはたいていフンドシなんだよ。いやあ、フンドシはいいよ。ムレないしさ」
「へえ、フンドシですか。オレもやってみようかな。どこで買えばいいんですか」

オレは当時、知り合いの女性に大量にフンドシを作ってもらい、それをいつも着用していた。サンプルで作っていたのをー本もらって着用したところ、これがあまりにも心地よく、それならと何十本もまとめ買いしてしまったというわけだ。ただ、後で知ったところによれば、フンドシというのはホモの人たちにとって象徴的な意味合いを持っているらしい。すなわちホモの下着アイテムとしては実にポピュラーな一品なのだ。ところが、当時のオレはそんなことも知らずノーテンキにこんなことを言ってしまう。

「たくさん持っているから良かったらあげるよ。まだ付けてないものもあるから」

「未使用のものよりもマグ口さんの使ったフンドシがいいな」

ヤナギのことを危ないと思い出したのは、このセリフを聞いてからだ。オレが履いたフンドシが欲しいなんて、どう考えても普通じゃない。ところが、ヤナギが巧妙なのは、オレのこういった警戒心を察するとすぐに女の話をするところだ。

「オレの彼女の友だちにマグ口さんのこと話してみたらけっこう興味あるみたいなんっスよ」

そういわれたら、ついうれしくなり、ゼヒ紹介してくれとデレデレしてしまうオレ。そしてついつい「メシでも食いに行こうよ」とまで言ってしまうのだ。ああ情けない。この後もヤナギは何度か電話をかけてきた。が、徐々に本性を現してきているというのがわかったから、以前ほど積極的にはなれない。仕事が忙しいからなどと理由をつけ早目に切るのが常となった。
それからー週問ほどたったろうか。忘れもしない、いい秋の昼下がり、我が家のチャイムが鳴った。
新聞の集金かなとドアを開けると長身で色白のハンサム男が立っている。昔の少女マンガに出てきそうな、カールされた長髭白のセーターにジーンズといっこざっばりとした格好。誰だ。オレはこんなヤツ、知らないぞ。きょとんとしていると、男はニコリと笑った。まさか、顔が引きつる。ヤナギ、あのヤナギか。なんでだ。なんで、オマエがここに来るんだ。

「入れてください」とドアを開けたまま放心状態でいるオレにヤナギが言う。黙ってると、勝手に入ってきそうな雰囲気だ。ヤバイ。何か理由を考えなければ。

「メシ食った?」

「まだですけど。それよりせっかく来たんだから、少し上げてくださいよ」

「いやあゴメン。部屋はちょっとマズイんだ。とりあえず外でメシ食おうよ。すぐ用意するから、ちょっとそこで待っててよ」

いったんドアを閉めて、大急ぎジャケットと財布をつかむ。一瞬、このまま無視しようかとも思ったが、オレにはできなかった。

「どこ行きますか」歩いて行くことを主張したオレを無視して、ヤナギはどんどん車が止めてある方へと歩き出した。一緒に乗るのか。イヤだなあ。それにしても、なぜヤナギはオレの自宅がわかったのだろう。住所など言ってないはずなのに…。そうか、思い出したぞ。以前の電話で「オレが住んでるのは甲州街道と井の頭通りの交差点に建ってるマンションだよ」と教えたのだ。ヤナギの家はさらにこの甲州街道を西に行った多摩地区で「車ならすぐですよ」と言ってた記憶もある。そうか、それで来れたんだ。

ヤナギが外国製の大きな4駆のドアを開けた。これがヤツの車か。ミュージシャンは収入がいいようだ。しかし、このまま車に乗っていいものか。中で何か変なことされたらシャレにならん。だからといって、乗らないのもかえって意識しているようで大人げない。まあ昼間だし、人もたくさんいるし滅多なことはないだろう。オレは腹を決め車に乗り込んだ。だが、危険はすぐに襲ってくる。最初の信号で止まったとき、

「フンドシ、見せてくださいよ」といいながら、左手でオレの股間を触ってきたのだ。「ちょっと待てよ。それよりナニ食いたい?」

「マグ口さんと食事できるならどこでもいいですよ」

「じゃあ、そこのステーキハウスにしようよ。オレがおごる」

そのとき、店でどんな話をしたかはまったく覚えていない。が、とにかく早く食事を終え、コイツと別れたいと思っていたのは確か。実際、オレはその後層っていきます占といっヤナギの誘いを断り、早足で1人帰った。

「昨日は朝の4時半に寝て今日は昼前に出てったでしよ」

その後もヤナギは毎日のように電話をかけてきては、その内容を過激にエスカレートさせていった。

「マグロさんのチンポってどんな形なんですか?ああ、くわえてみたいなあ」

なんだか不思議な気分だった。若い娘ではないデブな中年の醜いオヤジ(といっても当時35)が性の対象になっているのだ。これが不思議と感じない方がおかしい。しかも相手は若くてハンサムな色白の青年である。普通なら、女のコを追いかけ回しているような男がよりによってなんでこんなオヤジに熟を上げるのろうか。最初はからかわれているのかと思った。が、どうもそうじゃないらしい。ヤナギが切々と語るオレに対する恋心はどう考えてもマジだった。

「会ってくださいよ」

「オレは最初、キミが彼女といっしょに会おうというからOKしたんだよ。女の子といっしょだったら会うけど、キミだけとはもうあわないよ」

「そんなこと言わないでくださいよ。実はマグ口さんのことが忘れられなくて、彼女とは別れちゃったんです」

なにい、彼女と別れたけホントかよ。もしかするとコイツ、バイじゃくてホモなんじゃタないのか。

「オレはホモじゃないんだよ。だから、キミがいくら望んでもセックスとかは絶対しないから」

「……わかりました、それでもいいからあってください」なんなんだ、コイツ。なんで、そこまで一途になれるんだ。なんか可哀そうな気もしてくる。いや、いかんいかん。甘い顔をすると、絶対つけ上がる。後悔するのはオレなんだ。

「いずれにしても、今は忙しいからダメ。また、時間ができたらこちらから電詰するから」

こうして電話を切って1カ月、ヤナギからの連絡がぷっつり途絶えた。ようやく、あきらめてくれたか。キツイ言い方もしたけど、やはりオレにはホモの相手はできない。これでよかったのだ。

ところが家に帰ったある日、ふとドアの前を見ると、ノブになにやらスーバーの袋のようなものがかけてある。何だろうと中を見ると栄養ドリンクが3本そして手紙が入っていた。

「お仕事お疲れさま。これを飲んで一匹丸出してね。ヤナギ」

正直、ゾッとした。あの男、まだオレのことをあきらめていなかったのだ。とにかく、ヤナギに電話してみよつと自宅にかけたら留守電。続いて携帯へかけてみた。

「はい」「あ、ど、つも。マグロだけど。栄養ドリンクありがとう。でも、こんなことされちゃ困るんだ、家に来ないでくれって言ってんだよ」

そう言いながら栄養ドリンクをさわって驚いた。まだ冷たいのだ。たった今買ってきたという感じである。ということは、まだヤナギは近くにいるのか。少なくとも自宅は留寸だったぞ。6階の部屋の窓を開け、交差点を見下ろしてみる。とりあえずヤナギの車は見あたらない。

「近くにいるの?」
「・・だってマグ口さん、昨日は朝の4時半に寝て今日はお昼前に出ていったでしょ。だから疲れてるかなって、栄養ドリンクを買って行ったんですよ」

「-・」沈黙したまま、玄関のドア穴から外を見た。ヤナギがそこに立っているような気がしたのだ。が、誰もいない。オレは音をたてないように施錠した。

「あんまり気持ち悪いことしないでくれよ」「・…」

「わかった。オレが悪かった。最初にちゃんと言っておけばよかったんだ。オレが悪かった。申し訳ない」ヤナギは何も答えず電話を切った。鳴呼、なんでこんなヤツと最初に親しく話してしまったんだろう。オレは電気を消したままの部屋で、つくづく後悔していた。
翌日の朝。目覚めると反射的に窓の外を見て、ドア穴から外を覗いた。誰もいない。
その日は外に出る気になれず、食事もすべて出前。正直、心から恐かった。夜9時、ヤナギから電話がきた。

「マグ口さんですか」黙ってる。もうヤメてくれよ。すまん。昨日も謝ったが、オレの気持ちはそういっわけだ。今後、オレは電話でも直接でもキミと話す気はない。これっきりにしてくれよ。もしまた電話がかかってきてもすぐに切るからきそれだけ言ってオレは一方的に電話を切った。すぐにかかってくるかと思ったが電話はない。わかってくれたのだるつか。夜中3時。原稿を終え、部屋の灯りを消したとたん電話が鳴った。出るとガチャ切り。そしてすぐにまた電話がかかり、出ると切れた。

イタ電には慣れっこだが、そのしつこさは尋常じゃない。オレは20回ほど数えたところで、たまらず消音にセットした。イタズラ電話の相手はヤナギに決まっている。くそ、なんて陰湿な野郎なんだ。

翌日、やはり夜の9時過ぎに電話があった。今度は無言電話だ。それならばと、オレも何も話さないでいると、だんだん相手の息づかいが荒くなってきた。そして、

「マグ口さん。今オナニーしてるんですけど聞いてもらえますか」ふざけるなー昨日のイタ電もオマエだろー思わず怒鳴りそうになるのを必死にこらえる。こういう人間はこっちが何か反応すればするほど面白がって、行為をエスカレートさせるのだ。へタなことを言うと、かえって逆効果になる。キミとは話をしないと言ったはずだよ。切るオレは感情のない声でそれだけ言って受話器を置いた。この日も、部屋の灯りを消した途端、電話がかかってきた。やはり、どこかで見張っているのだ。なんて野郎なんだ。こんなことが10日ほど続いただろうか。オレはその間、毎朝、窓から下を確認し、外出する際は尾行されてはいないか何度も後ろを心底ホッとしたものだ。

1通の手紙、翌日は2通、次の日は3通と…
ピタリとイタズラ電話がなくなった。もちろん、本人を名乗っての電話もない。ついにヤナギがあきらめたのだ。やはり、無視することがストーカーにはいちばんの対策。オレは再び平穏な暮らしが戻った。電話番号を公開している以上、イタ電は絶えないが、部屋の灯りを消すといきなりかかってくるという恐怖の電話がなくなっただけで十分だ。オレは時間がたつにつれ、ヤナギの存在が自分の中から消えつつあるのを心から実感していた。そんなある冬の日のことだ。マンンョンの郵便受けにー通の手紙が届いた。なんの変哲もない縦長の白い封筒。差出人に名前はない。イヤな予感を覚えつつ封を開けると便せんが2枚あった。1枚は白紙、もっー枚に文章が書かれている。

名前は書かれていないが、この字はアイツが書いたものに聞遅いないっ忘れかけていた恐怖が一気に蘇えるのを感じながら、手紙を読む。と、そこに書かれていたのは、実に意外な内容だった。要約すれば、これまでの自分の行動を反省し、後もう連絡を取らないようにしますというのである。何か拍子抜けしないでもないが、同時にホッとしたのも正直なところ。ヤナギもどこかでケジメを付けたかったのだろう。いずれにせよ、これでストーカー事件も真の終わりだ。よかったよかった。なんて安心していられるのは、その日ー日だけだった。

なんと次の日、今度は2通の手紙が届いたのだ。ー通目は便せん。この2カ月、オレを忘れるために新しい彼氏を見つけ付き合っていたが、どうしてもオレを忘れられず、結局その彼氏とは別れてしまった。などということが切々と書かれ、もうー通には

「失礼な話ですが、もう一度お友達から始めてもらえませんか」とあった。なんでだ。なんでこうなるんだ。気分が一気におち込んでいく。翌日、3通の手紙が届いた。中身はヤナギがオレとセックスを想像して書いたと思われるポルノ小説。吐気が出そうなほどの嫌悪に襲われる。イヤな予感は的中した。その次の日は4通である。

1通だけ封を開くと、そこには真っ裸のオレのチンポをヤナギがフェラチオをしている、ヘタクソな絵が描かれていた。翌日、計ったように5通が届く。今回はすべて安物の茶封筒。しかも、切手が貼られていないために未納料金を支払ってくれとの紙が添えられている。即座にゴミ箱に捨てようと思ったが、念のため1通だけ中を開くと、呪文のような言葉が並んでいた。いよいよヤバいか。

その翌日は6通にはならす、同じように5通やはり切手を貼っていない安物の茶封筒だ。捨てる前に透かしてみると何やら毛のようなものが入っていた。こんな手紙が毎日きた。ー通だけのときもあれば6通いっぺんに届いたりと数はまちまち。オレはそのすべてを開封せずにすぐに捨てた。正直、気が狂いそうだった。いや、アイツの方が気が狂いそうだったのかもしれない。報われぬ思いが過激に歪み、そのうちオレを殺しにくる。大げさじゃなくたとえそうなっても不思議じゃないほど、ヤナギの行為は常軌を逸していたし、オレ自身も恐怖を感じていたのだ。しかし、事態は意外な形で終了する。年が明け別のマンションに引っ越ししたころ、手紙攻撃はぴたりと止み、それ以後ヤナギがらの接触が一切なくなったのだ。ひょっとしたら、ヤナギは今もオレ宛に手紙を出し続けているのかもしれない。